(1) 外来生物及び遺伝子組換え生物の生態系影響評価とリスク管理技術の開発

課題名 (1) 外来生物及び遺伝子組換え生物の生態系影響評価とリスク管理技術の開発
課題番号 2008010735
研究機関名 農業環境技術研究所
研究分担 (独)農業環境技術研究所,生物多様性研究領域
協力分担関係 森林総合研究所
農業・食品産業技術総合研究機構
岡山大学
研究期間 2006-2010
年度 2008
摘要 ア 外来生物の生態系影響評価とリスク管理技術の開発1)特定外来生物の定着実態 現地調査により、千葉県印旛沼周辺の水田で、特定外来生物ナガエツルノゲイトウが畦畔、田面、小水路に蔓延し農業被害を与えていること、またこれら水系から離れた谷津田部分にも分布していることを明らかにした。この分布拡大には、各ほ場での農法の影響が大きいことが推定された。ナガエツルノゲイトウは中国で蔓延が大きな問題となっており、注意が必要である。 利根川の河口から群馬県烏川の合流点までの特定外来生物カワヒバリガイの分布状況を明らかにした。利根川では河口から116km の調査点まで生息が確認され、利根川本川のみならず、周辺河川・湖沼・水路・導水施設などにも広く生息していることが明らかになり、茨城県・千葉県・群馬県では利水施設の運用での被害が確認された。2)外来植物の分布と土壌化学性との関係 北関東の農地周辺の草本群落を対象に調査を行い、表層土壌のpH が高い場所や有効態リン酸の高い土壌で外来植物の侵入が頻発していることを明らかにした。3)外来植物のリスク評価手法 導入前植物のリスク評価法(新たに我が国へ導入される植物を対象に、我が国で雑草化する植物とそうでない植物を判別する手法)として国際的に定評があるオーストラリア式雑草リスク評価法が我が国へ適用できることを明らかにした。また、雑草判別基準について、従来の雑草判別率に基づいて決定する方法に加え、経済的利益等の外部要因と評価法の精度も考慮して決定する方法を提案した。これらの成果については、外来生物法の担当省庁である環境省など行政機関での活用が期待される。イ 遺伝子組換え生物の生態影響評価とリスク管理技術の開発1)生物多様性影響評価研究(野生化、交雑性研究) 鹿島港を始めとした国内の幾つかの港で、輸入されたセイヨウナタネのこぼれ落ち種子に由来する遺伝子組換えナタネの生育が報告されているため、セイヨウナタネが他種を駆逐して分布を拡大するかどうかを確認する目的で、ほ場でセイヨウナタネの播種時期と刈り取り条件を変えて他の雑草との競合実験を行った。その結果、播種時期と刈り取りの有無は、セイヨウナタネの発生に大きな影響を及ぼしたが、いずれの試験区においても他雑草の繁茂によりセイヨウナタネの発生は抑制され、少数の個体の発生と消滅を繰り返した。こうしたことから、セイヨウナタネが他の雑草種を駆逐する可能性は低いと考えられた。 遺伝子組換えダイズが栽培された場合、我が国に自生している近縁野生種であるツルマメとの交雑の可能性が指摘されている中、農環研ほ場で開花期を出来るだけ重複するように調整し、両者が絡み合うほどの距離で栽培した場合でもその交雑率は極めて低いことが明らかになっている。交雑の頻度は両者の開花期重複の程度に影響を受けるため、開花期の重複に基づく交雑可能性予測モデルを作成する目的で、ツルマメの開花特性の地理的変異について検討した。その結果、北海道、秋田、茨城、佐賀、宮崎の5系統のツルマメの開花開始日は、宮崎系統を除けば、日長時間より有効積算温度によって決定され、南の系統ほど要求有効積算温度が高いこと、開花最盛日、開花終了日は、南の系統ほど、より短い日長に反応し、それらが、日長時間によって決定されていることを明らかにした。2)共存研究(交雑抑制研究) 大規模圃場におけるイネ花粉の長距離飛散と交雑の実態を明らかにする目的で交雑予測モデルを用いて、種子親圃場における交雑率予測図を作成して大量の試料を効率的に採取し、花粉親からの距離と交雑率との関係を明らかにした。トウモロコシ等風媒性作物の花粉飛散を制御し、交雑抑制技術を開発するため、防風植生や散水による交雑抑制効果試験を行った。3 年間の交雑率の結果を比較すると、花粉親から10m以上離れると交雑抑制効果はほとんどなくなり、交雑抑制効果は防風ネットと同様に限定的であることが分かった。
カテゴリ 病害虫 管理技術 雑草 水田 なたね 播種 評価法

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