課題名 |
j.果樹の育種素材開発のための遺伝子の機能解析及びDNA利用技術の開発 |
課題番号 |
2009013903 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構
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研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,果樹ゲノム研究チーム
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協力分担関係 |
種苗管理センター
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研究期間 |
2006-2010 |
年度 |
2009 |
摘要 |
1)マイクロアレイ解析等の手法により、かんきつ果実のカロテノイド代謝制御に関わる転写調節因子遺伝子を選抜し、4種類の候補遺伝子を単離した。このうちの1種であるTF-BFCを導入したトマト組換え体の解析から、この遺伝子の成熟果実におけるカロテノイド代謝遺伝子の発現誘導機能を明らかにした。単為結果性の異なる品種間のホルモン解析から、活性型ジベレリンの一種が開花期に高いことが単為結果性に重要であることを示した。単偽結果性の異なる品種間でジベレリン等の植物ホルモンの含有量に有意差がみられ、関連する代謝遺伝子の発現量についても類似した傾向が認められた。また、うんしゅうみかん後代系統の単為結果性評価から、調査した40系統中10系統が高い単為結果性を有していたことから、遺伝地図の単為結果候補領域の選抜が可能であることを示した。2)日本なしから独自に収集した約10,000種類の独立発現遺伝子を搭載したマイクロアレイを開発し、日本なしの果実肥大に関与する遺伝子について解析した。開花後15週~21週(成熟期)で約30%の遺伝子で有意に発現が変化し、それを11パターンに分類した。その中で、グルタチオン-S-トランスフェラーゼやグリコシル加水分解酵素などの遺伝子を始めとする16種類の遺伝子が100倍以上の発現増を示した。日本なしでは、ジベレリン処理により果実肥大の増大と収穫期の前進が確認され、マイクロアレイでジベレリン処理区と無処理区における遺伝子発現の変動を調べたところ、972遺伝子が処理区で発現が増大し、特に変動の大きい遺伝子は細胞壁関連や糖代謝関連、フェニルプロパノイド生合成の遺伝子であることを明らかにした。さらに、みつ症などの生理障害に関連する遺伝子群の同定を目的に、日本なし品種「新高」のみつ症障害果と健全果においてマイクロアレイ解析を行ったところ、発現が増大あるいは減少した遺伝子はそれぞれ55と58で、発現が増大した遺伝子の中にフェニルプロパノイド系に関連する遺伝子群を見出した。3)なしの黒星病抵抗性を早期選抜するためのDNAマーカー開発のため、日本なし品種「巾着」のBAC ライブラリーから既存の黒星病抵抗性連鎖マーカー領域を含むBAC クローンを多数単離し、末端塩基配列の情報を利用して新たなマーカーを開発した。既存の連鎖マーカーでは多型が得られなかった育種実生集団へ新規連鎖マーカーの適用が可能となり、マーカーの高度化と育種への効率的な利用を可能にした。中国なしや西洋なしでは、日本なし品種「巾着」と異なる黒星病抵抗性を持つことを明らかにし、それぞれ第2連鎖群と第7連鎖群に抵抗性遺伝子を同定するとともに、連鎖マーカーを獲得した。かんきつでは、ゲノム情報をもとに開発したSSRマーカーやSNPマーカー合計625種類の評価と選抜を行い、かいよう病の分離集団と無核性の分離集団を対象に連鎖地図を構築した。さらに、無核性等の遺伝子の座乗位置を推定し、無核性座近傍の共優性マーカーの評価を進めた。開発したマーカーの一部を用いて、163個体の育種実生について無核性の選抜を行った。4)からたちの持つカンキツトリステザウイルス(CTV)抵抗性を早期開花系を用いてかんきつに導入して世代促進するために、かんきつの早期開花性遺伝子(CiFT遺伝子)を導入した組換え体を交配して得られたBC1世代60個体が、順化後生育した。CiFT遺伝子を保持する16個体から、DNAマーカー診断によりCTV抵抗性遺伝子を8個体が保有していることを明らかにした。ゲノム全体をカバーするマーカーを用いてアレル置換解析を行った結果、個体ごとのからたち属からかんきつ属へのアレルへの置換状況を明らかにした。
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カテゴリ |
育種
温州みかん
黒星病
障害果
西洋なし
生理障害
単為結果
中国なし
DNAマーカー
抵抗性
抵抗性遺伝子
トマト
日本なし
品種
その他のかんきつ
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