課題名 |
e.細菌・寄生虫感染症の診断・防除技術の高度化 |
課題番号 |
2009013943 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構
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研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,動衛研,細菌・寄生虫病研究チーム
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協力分担関係 |
帯広畜産大学
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研究期間 |
2006-2010 |
年度 |
2009 |
摘要 |
1)重要細菌性疾病防除技術の高度化に向けて、線毛形成たんぱく質抗原の検出が豚レンサ球菌高病原性株集団の鑑別用分子マーカーとして有用であることを明らかにした。また、豚レンサ球菌のsrtG領域線毛遺伝子群が菌体表面の線毛様構造形成を担うが、線毛様構造は細胞外マトリックスたんぱく質への結合能を持たないことを確認し、宿主体表系などで感染成立に重要な宿主への定着を調べる必要性が示された。子宮摘出初乳未摂取豚鼻腔内接種モデルにおいて、豚レンサ球菌の調節系遺伝子の1つであるclpPの欠損株の病原性の低下を確認した。さらに、腺疫菌と類似菌の表層抗原遺伝子交換株の抗原定量により腺疫菌での抗原発現が菌体外への抗原放出を増強することを明らかにし、腺疫菌と近縁菌の鑑別に使用されるELISAの特異性が示された。 牛呼吸器病原因パスツレラ科細菌Histophilus somniの免疫グロブリン結合たんぱく質遺伝子 (ibpA) はマクロファージ系細胞の機能障害作用を担う重要な病原因子であること、及びその作用責任領域は繰り返し配列DR1及びDR2であることを明らかにした。牛呼吸器病由来Pasteurella multocidaが保有するibpA相同遺伝子の構造は菌株間で異なり、そのうちの特定の構造を持つ株でのみ遺伝子産物の発現が確認されることを明らかにした。P. multocida のibpA相同遺伝子には細胞機能障害作用責任領域であるDR1及びDR2配列は認められず、細胞機能障害作用も検出されなかった。 また、乳房炎の原因となる黄色ブドウ球菌の菌体外毒素遺伝子欠損株作出ツールの調製を完了するとともに、菌体外毒素は乳腺上皮細胞に傷害作用を示さないが、好中球・マクロファージに対しては膜孔形成により傷害作用を示すことを確認した。2)重要寄生虫性疾病防除技術の高度化に向けて、飼料イネ圧砕稲わらの4ヶ月以上持続給与は牛の貧血に効果のあるビタミンEの血中濃度を高めるものの、小型ピロプラズマ病による貧血の防止までには至らなかった。抗原虫薬ジアミジン製剤の経皮投与が、本来の用法である筋肉内投与と同等の効果があることを明らかにし、新たな治療法の可能性を示した。3)病理学的診断法の高度化に向けて、P. multocida菌抗原と各抗血清の免疫組織化学的反応性の検証により、P. multocida A、B及びE型の特異的検出を可能となることを、牛肺炎例で実証した。また、免疫抑制剤及び分生子と菌糸の特定肺葉への投与による牛のAspergillus fumigatus感染実験系を構築した。4)プロバイオティクスによる感染症制御に有効な手法の開発に向けて、特定の乳酸菌株(I-5株)が免疫調節作用を持つサイトカインであるIL-10を高産生させる作用があることを見出した。
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カテゴリ |
治療法
豚
防除
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