課題名 | (2) 農業生態系機能の発現に関与する情報化学物質の解明 |
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課題番号 | 2009014008 |
研究機関名 |
農業環境技術研究所 |
研究分担 |
(独)農業環境技術研究所,生物生態系機能研究領域 |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2009 |
摘要 | 1)バラ科植物等が産生する生理活性物質の機能解明 平成20年度までに100種類以上のバラ科植物から選抜を行い、ユキヤナギに含まれるシス-ケイ皮酸グルコシドが非常に高い植物生育阻害活性を示すことが明らかとなったため、その類縁化合物の検討を行った。シス-ケイ皮酸のベンゼン環上に置換基を導入し、その活性変化を解析し、置換基の位置(オルト、メタ、パラ位)による活性発現の違いを明らかにするとともに、シス-ケイ皮酸よりも高いアレロパシー活性を示す化合物を発見した(特許出願)。また、日本在来の被覆植物であるシランのアレロパシー活性の原因物質としてミリタリンを単離し、その構造を明らかにした。2)ノメイガ類等昆虫の増殖に関わる情報化学物質の機能解明 実験室内での交雑実験および野外採集個体の形態学的検証から、フキノメイガとツワブキノメイガが高い頻度で交雑しており、交雑体の性フェロモンは、両者の産生する性フェロモンの中間的な形質を示すことを明らかにした。他種との交雑によって、性フェロモンによる害虫防除の効率が低下する可能性が示唆された。3)生分解性プラスチック分解微生物の機能解明 高い生分解性プラスチック(以下、「生プラ」と略)分解活性を持つカビ(菌株名47-9)で、大量の酵素が安定して生産される条件を検討し、同じ菌体を再生利用して10 回以上の反復培養が可能になった。本酵素は液体状態と凍結乾燥粉末両方で、室温で長時間活性が維持されることを明らかにした(特許出願)。さらに、実用化を念頭においた実験にも着手し、水分条件が分解速度に与える影響が大きいことを明らかにした。 なお、シーズ研究から発展した成果として以下の成果が得られている。4)バイオエタノールを生産する固体発酵法 セルロース系バイオマスを収穫後、低水分のまま貯蔵している間に糖化とエタノール発酵を行う、新しいバイオエタノール生産方法「固体発酵法」を実験室規模で開発した。この方法により、サイレージと同様に刈り取り直後の材料草を容器に圧密/密閉する際に、バイオマス糖化酵素とエタノール発酵用酵母を添加することで、飼料イネホールクロップ(穂と茎葉を含んだ植物体全体)からバイオエタノールと飼料生産の可能性が示唆される。 |
カテゴリ | 害虫 乾燥 性フェロモン ばら ふき 防除 |