課題名 |
農業に有用な生物多様性の指標及び評価手法の開発、(2)寒冷地の防除圧が異なるモモ園における生物多様性の指標生物の選抜 |
研究機関名 |
福島県農業総合センター
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研究分担 |
果樹研究所
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研究期間 |
新H20~H22 |
年度 |
2008 |
摘要 |
目的:殺虫剤および殺ダニ剤の使用回数が異なる慣行防除、減農薬防除、無防除のモモほ場にいて、害虫や天敵類などの発生を調査し、それらの種類および発生量を比較する。それらの中から防除圧と関連した指標生物を選抜するとともに、指標生物種に対する簡易モニタリング法を開発し、ほ場単位での生物多様性の評価手法を確立する。、成果:果樹研究所内および伊達郡桑折町の5か所の現地モモほ場で捕獲される生物種と防除圧の関係について検討した。所内試験区の防除圧は、殺虫剤の散布回数および散布量より、無散布区<減農薬区<慣行区の順に低かったと考えられた。現地慣行ほ場は、試験期間中の殺虫剤散布回数は4~6回であり、そのうち有機リン剤を1回散布した園地が2か所あった。(1)所内ピットフォールトラップで捕獲された生物種のうち、クモ類、ハサミムシ類、アリ類、ムカデ類で防除圧が低いほど捕獲数が多くなる傾向がみられた。(2)所内ピットフォールトラップで捕獲されたゴミムシ類は全34種が確認されたが、防除圧が低い試験区ほど多種のゴミムシ類が捕獲される傾向がみられた。(3)所内黄色粘着トラップで捕獲された生物種のうち、クモ類、寄生蜂類で防除圧が低いほど捕獲数が多くなる傾向がみられた。(4)所内スウィーピングで捕獲された生物種のうち、クモ類、カメムシ類、ヒラタアブ類、寄生蜂類で防除圧が低いほど捕獲数が多くなる傾向がみられた。寄生蜂は、10科以上確認され、コマユバチ科、ヒメバチ科、ヒメコバチ類、タマバチ上科、クロバチ類の捕獲数が多かった。(5)所内ビーティングで捕獲された生物種のうち、クモ類、カメムシ類、寄生蜂類で殺虫剤による防除圧が低いほど捕獲数が多くなる傾向がみられた。(6)現地黄色粘着トラップでは、殺虫剤散布回数を削減したほ場でガ類、クモ類、寄生蜂類の捕獲数が多かった。(7)現地スウィーピングでは、アブ類、カメムシ類、クモ類、寄生蜂類で、有機リン剤を使用した園地では捕獲数が少なくなる傾向がみられた。寄生蜂類は10科以上確認され、コマユバチ科、ヒメコバチ科、クロバチ類の捕獲数が多かった。(8)現地ビーティングでは、クモ類、寄生蜂類、カメムシ類で有機リン剤を使用した園地で捕獲数が少なくなる傾向がみられた。(9)各調査法で捕獲されたクモ類の種類を同定したところ、10科以上が確認され、ピットフォールトラップではコモリグモ科が多く、スウィーピング・ビーティングではカニグモ科、アシナガグモ科、ヒメグモ科、ハエトリグモ科が多く捕獲される傾向がみられた。
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カテゴリ |
病害虫
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カメムシ
桑
農薬
防除
モニタリング
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