課題名 |
21.モモの果肉障害発生抑制技 術の確立、1)発生実態の把握と発生要因の解明、(1)低温および遮光条件下における発生再現試験、(2)土壌水分が果肉障害発生に及ぼす影響、(3)果実の成熟に伴う各種成分変化の解明、 |
研究機関名 |
山梨県果樹試験場
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研究分担 |
落葉果樹栽培科
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研究期間 |
H16~20 H16~20 |
年度 |
2008 |
摘要 |
低温、遮光、水分変動条件による再現試験、モモ加温ハウスで、遮光・低温・断続かん水処理を組み合わせた処理区で果肉障害の発生が再現できるか試験をおこなった。その結果、処理区では水浸状果肉障害の発生率は37.2%、慣行区では29.1%となり、処理区で慣行区に比べやや発生が高くなった。昨年も同様の試験を行い、ほぼ同程度の結果であったことから、低温、遮光、かん処理は果肉障害の発生を助長させるものと考えられた。しかし、遮光や低温といった単一条件のみでは、障害はまったく助長されなかったことから、これらの要因が複合的に作用することで障害を助長させると思われる。かん水処理が障害の発生に及ぼす影響については、これまで詳細な検討を行ってこなったため、次年度からの新規課題で詳細な検討を行いたい。また、栽培現場においては、収穫前に曇雨天が続く気象条件のときは、障害の発生に注意する必要があると思われた。現地圃場において土壌水分と果肉障害発生に関して調査を行った。果肉障害の発生率は、各調査園ともに、昨年度に比べると低かった。土壌水分の変動状況を見ると、収穫日前の土壌水分変動が多かった前年と比べて、今年は各圃場とも、収穫日の2週間程度前から土壌水分が安定的に推移していた。このことから、果肉障害の発生要因の一つとして、土壌水分の変動が影響していると考えられる。、ア.果肉障害症状の経時的変化調査、白鳳、嶺鳳の両品種は収穫盛期を過ぎると急激に水浸果が増加し、その後4、5日経過したところで褐変果が増加した。白鳳果実の糖含量は当初glicose とfructose含量が高かったが適期以降はsucroseが80%以上を占めていた。ソルビトール含量は収穫期が遅れるほど上昇したが、最大でも全糖含量の5%程度であった。クロロゲン酸、全フェノール含量は収穫期が遅くなるにしたがって低下した。果肉障害が発生している同一果実について、障害部と健全部で糖分析を行ったところ、障害の発生とソルビトール含量との間には必ずしも明確な関連は認められなかった、イ.果肉障害果の酵素活性調査、 採取日あるいは障害の有無による測定部位の違いによりlipoxygenase活性には違いが認められなかった。、ウ.共焦点レーザー顕微鏡による果肉障害果の生体活性解析、共焦点レーザー顕微鏡を用いて果肉障害果の生体活性解析を行なった。生体反応を示す蛍光部の面積比率は、健全部≧水浸部>褐変部の傾向であり、果肉における障害程度の進んだ部分ほど、細胞の生体反応が低下していることを示している。褐変部は水浸部よりも老化現象が進んでいると推測される。
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カテゴリ |
果肉障害
光条件
品種
もも
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