課題名 | d.飼料・畜産物の生産段階における安全性確保技術の開発 |
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課題番号 | 2010014940 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,動衛研,安全性研究チーム |
協力分担関係 |
農業生物資源研究所 茨城大学 |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2010 |
摘要 | 1)腸管出血性大腸菌の遺伝子変異機構の解明に関しては、21年度に引き続いて分子生物学的解析を実施し、新規たんぱく質IEE(IS excision enhancer)の働きにより挿入配列が除去され、ゲノムが多様化することを解明した。また、IEEのアミノ酸置換および欠失変異体を作製し、C末端側の他細菌種IEEホモログにも保存された領域が挿入配列の除去に必要なことを明らかにした。2)腸管出血性大腸菌の排菌を抑制する生菌剤評価系の開発に関しては、腸内フローラのメタゲノム解析に適したDNA抽出法を確立し、本法により16S rDNAを解析した結果、生後すぐに牛糞便を投与したSPF鶏の腸内フローラの大部分が、早い段階で糞便未投与鶏と同様のフローラに置換されることを明らかにした。3)腸管出血性大腸菌の生菌剤候補株の開発に関しては、候補大腸菌株の必須遺伝子を染色体からプラスミドへ移すことにより、生体内でのプラスミド保有率が大きく向上するが、これらの変異株は増殖速度が低下し、腸管への定着性が減少する傾向があることを明らかにした。4)サルモネラの防除技術の開発に関しては、20年度に開発した主要血清型迅速同定法は、臓器の増菌培養液から抽出したDNAを用いてもサルモネラを検出可能であることを示した。また、国内分離株の分子生物学的解析の結果から、本法は血清型 Typhimurium単相変異株同定法として利用できることを示した。5)カンピロバクターの防除技術の開発に関しては、カンピロバクターのhldD遺伝子は、細胞壁の正常な構造と機能を保つことで胆汁酸抵抗性と鶏腸管定着性に関与することを示唆した。6)かび毒の家畜への影響評価に関しては、豚はニバレノール経口投与により急性中毒を示し、血清IL-6およびコルチゾルの一過性増加、消化管粘膜上皮細胞およびリンパ組織リンパ球のアポトーシスを起こすことを明らかにした。7)環境汚染物質の毒性評価に関しては、多環芳香族炭化水素への塩素基付加により、変異原性のパターンが変化し、塩基置換型変異よりもフレームシフト型の変異を誘発することを示した。8)かび毒の簡易・迅速検出法の開発に関しては、デオキシニバレノールおよびニバレノールの新たな免疫用抗原を合成し、両者を認識するハイブリドーマならびに前者に特異的なマウス免疫血清を得た。また、デオキシニバレノールの蛍光トレーサーを合成し、その有用性を確認した。 |
カテゴリ | 加工 生菌剤 抵抗性 鶏 豚 防除 |