課題名 |
農作業の更なる省力化に資する農業機械・装置の開発 |
課題番号 |
2011017622 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構
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研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,生研センター,園芸工学研究部
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研究期間 |
2011-2015 |
年度 |
2011 |
摘要 |
水稲作・畑作・飼料作等の土地利用型農業における高効率化や高精度化による農業生産コスト縮減を可能とする農業機械・装置の開発に関して、小型汎用コンバインでは、水稲収穫時の脱穀選別損失を3%に抑えつつ作業速度1.0m/s程度で収穫でき、麦・大豆収穫時の損傷粒・脱穀選別損失を抑えつつ作業速度1.4m/s程度で収穫でき、4tトラックに積載可能な小型汎用コンバインを開発し、実用化した(平成24年3月に市販化)。小型栽培管理作業車では、走行部を試作して田植え、除草等の作業機を装着して性能試験を行い、傾斜地への適応性を確保するため、静的横転倒角40度以上の車体構造の水田栽培管理ビークルを試作した。乾田均平機では、試作1号機による水田輪作における畑作時のほ場表面の凹凸が復田時のほ場均平度に及ぼす影響等の問題点を明らかにし、ほ場表面の凹凸をより正確に検知するセンサへの改良と排土板の姿勢や作用深さを適正に制御する機能を改善した試作2号機を製作した。湛水直播機の高速作業に対応する技術では、1.5m/s以上の高速作業時においてもフロートの姿勢変化の抑制により播種精度が向上すること、安定した高速作業に必要な要件を明らかにした。ラッカセイ収穫機では、トラクター装着型でイモ類掘取機をベースにしたラッカセイの掘取、反転を1工程で行える機構を備えた試作機を設計・製作し、ほ場試験により収穫損失も少なく、円滑に搬送され、地面へ等間隔に放てきできることを確認した。ソイルコンディショナでは、ソイルコンディショナ簡素型を開発し、砕土・石礫分離作業を行い、作業深さ25cmのけん引抵抗が作業速度0.54m/sでも23kNと小さいことを実証し、石礫除去機として実用化の見通しを得た(平成24年度に市販化予定。)。高精度てん菜播種機の適応拡大では、大豆、小豆の播種試験を行い、出芽率は各々94%、96%で収量も慣行区と差が無く豆類への適応性を明らかにするとともに、高精度てん菜播種機のオプションとしてクラスト対応鎮圧輪を開発した。飼料イネ・長大作物兼用収穫装置では、基礎試験機による試験を行い、切断部への草の巻きつきが切断を阻害することを明らかにし、往復切断刃と突起付きドラムを備えた株元切断・搬送機構を試作し、機能確認を行った。高速汎用播種機では、高速かつ高精度に種子を繰り出せる機構と雑草等が多いほ場でも安定的に土中に定着可能な機構を組合せ、トウモロコシ種子に対応した作業速度2m/sで欠株が少ない高精度播種が可能な不耕起播種機を開発し、実用化の見通しを得た(平成24年度に市販化予定)。自脱コンバイン収穫における新規需要米混入防止のための構造調査では、メーカー、刈取り条数の異なる機種の掃除口等構造を調査し、現状は、開放部が小さいこと、開閉操作が困難等の問題点を明らかにした。 機械化が遅れている園芸分野、畜産分野等の生産性向上に寄与する農業機械・装置の開発に関して、キャベツ収穫機では、機上選別同時箱詰め作業やコンテナ収容方式を採用した試作機を試作するとともに、損傷球の発生が少なく、慣行手作業の7~9倍の能率を有する雪中貯蔵用キャベツ収穫機を開発した。タマネギの調製出荷用機械では、試作機による長期利用試験を実施して、腐敗球の除去等も含めて1,700個/人・hと手作業の約2倍の処理能力を確認し、タマネギを自動で供給・整列させて根や茎葉部部の切り取り作業が行えるタマネギ調整装置を開発し、実用化の見通しを得た(平成24年度に市販化予定)。ニラ等の軟弱野菜調製機では、基礎実験装置を製作して、圧力、噴射頻度と下葉除去程度との関係を調査し、低圧条件の間欠噴射の有効性を明らかにし、空気使用量を慣行比で約1/3に節減できることを確認した。ナガイモの種イモ切断・防除技術では、切断精度、作業能率等について調査を行い、調査結果に基づく切断装置を設計・試作し、慣行作業に比べ高い切断性能を確認した。牛床清掃技術では、乳牛の挙動調査により、自動清掃は起立している給餌機到着後30分以内、清掃部の高さは10cm以下とすることなどの情報をもとに清掃部の試作を開始した。乳房炎早期検出技術では、乳汁に一定濃度の過酸化水素を定量混合し、電気化学法(CA法)での過酸化水素濃度の減少速度測定により、乳汁中の活性酸素消去能を測定できることを確認した。乳牛採食反応検知システムでは、残飼検知部について、データの処理方法を改良し、食欲不振牛の検出精度の向上を図るとともに、検知データモニタリングソフトについて食欲不振判定を行った牛のリストを酪農家に表示できるよう改良した。このほか、ウリ科接ぎ木装置によるトマト接ぎ木技術では、市販ウリ科接ぎ木装置の空気圧、穂木ハンド及び運転モードの変更でナス科であるトマトの接ぎ木が可能となる改良版を実用化した(平成23年度から市販化)。 農産物の生産・調製・流通過程における高付加価値化に資する農業機械・装置の開発に関して、イチゴの多機能個別包装技術では、大玉イチゴを収容できるようパック形状を改良し、収穫14日後の質量減少率は、慣行包装が約6%であったのに対し約3%と低く、輸送試験により損傷発生割合を低減できることを確認した。高品質TMR成形密封装置では、材料の割合や含水率が異なるTMRを8~18t/hの処理能力でロールベールの直径を0.85~1.1mの範囲で形成でき、損失割合も1%以下の可変径式TMR成形密封装置を開発し、実用化の見通しを得た(平成24年度に市販化予定)。粗飼料含水率簡易測定装置では、複数の含水率測定手法を比較して測定方法を検討し、簡易で高水分域も測定可能であることから最も適当と判断された静電容量式含水率計を用いて複数の作物を供試した水分測定試験い、含水率計の測定と作物の水分量に正の相関が認められたが、作物の性状により、測定精度が異なることを明らかにした。
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