課題名 | リン酸施肥削減のための有機物中リン酸評価法および局所施肥法の開発 |
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研究機関名 |
地方独立行政法人北海道立総合研究機構農業研究本部北見農業試験場 |
研究分担 |
生産環境グループ |
研究期間 | 完 、H22~24 |
年度 | 2012 |
摘要 | a 試験目的:たい肥等の各種有機物に含まれるリン酸の肥効を的確に評価し施肥リン酸の減肥につなげるとともに、局所施肥法の開発により施肥リン酸の利用効率向上・施肥量削減を図る。 b 試験方法: 、 (a)各種有機物中リン酸の各作物による施肥評価と有機物中リン酸・塩基の簡易推定法の開発。 作物:てんさい、たまねぎ、にんじん、キャベツ、トマト。有機物:牛ふんたい肥、鶏ふんたい肥、米ぬか油かす。リン酸肥効率の想定値を数段階設けて施肥設計。リン酸(および塩基)注出法:0.5M塩酸で60分振とう。有機物中リン酸の活用と肥効評価。 、 (b)施肥リン酸利用率向上技術のための局所施肥技術の開発。 、 作物:移植てんさい(ポット内)、たまねぎ(ポット内・葉面散布)、キャベツ(ポット内・畦内)、トマト(ポット内)。本圃リン酸施肥量を削減。調査:作物体中リン酸濃度、収量。局所施肥法の開発。 、 c 成績の概要: 、 (a)牛ふんたい肥中のリン酸の肥効率を生育、収量およびリン酸吸収量などから総合的に評価すると、化学肥料を基準(100%)として、移植てんさいで70~100%、たまねぎで60~100%、にんじんで50~60%、トマトで100%となり、作目に関わらず60%を見込むことができた。 、 (b)同様に、鶏ふんたい肥の肥効率も60%と評価された。米ぬか油かすの肥効率は、概ね60%を期待できるが、やや不安定であった。 、 (c)各種有機物のリン酸肥効率は、ポット試験の黒ボク土でやや低い場合があったが、圃場条件では有効態リン酸が5~6mg/100gと低い黒ボク土でも高く、土壌型やリン酸吸収係数による区分は不要である。 、 (d)家畜ふんたい肥中のリン酸と塩基含量は、0.5M塩酸振とう抽出法(乾燥試料1gを0.5M塩酸50mlで60分振とうし、リン酸と石灰は定量値を1.1倍、苦土は1.2倍、カリは1.0倍)により簡易に推定できる。 、 (e)育苗ポット内のリン酸増肥(たまねぎ:過リン酸石灰を培土重量比6%添加、キャベツ:培土1L中リン酸を3000mgに、トマト:培土に重過石等を本圃リン酸5kg/10a相当量を添加)により、本圃リン酸施肥量をそれぞれ10、5、20kg/10a削減できる。移植てんさいは農家慣行育苗施肥を前提とすると、土壌有効態リン酸が基準値内であれば現行施肥標準の半量のリン酸施肥で糖量が変わらなかった。 、 (f)たまねぎでは育苗後期に2回、育苗トレイ1枚当たり0.5Lのリン溶液(5000mgP/L)を葉面散布すると本圃リン酸を5kg/10a削減できる。 、 (g)キャベツでは本圃において幅20cmの畦内にリン酸を施肥することで施肥量を半減できる。 、 (h)たまねぎ、トマト、キャベツ栽培において、たい肥中リン酸の肥効評価と局所施肥とを組合わせた際には、各々の技術によるリン酸削減可能量の合計量を本圃で削減することが可能である。 、 (i)これらの技術を活用すると、供試した5作物の道内での栽培面積に基づき、全道合計のリン酸肥料削減量は、牛ふんたい肥のリン酸肥効評価で5240t程度、局所施肥で7320t程度と試算された。 |
カテゴリ | 肥料 育苗 乾燥 キャベツ 施肥 たまねぎ てんさい トマト 鶏 にんじん 評価法 |