乳牛の低カルシウム血症予防を目的とした稲発酵粗飼料の機能性の検討と給与技術の確立

課題名 乳牛の低カルシウム血症予防を目的とした稲発酵粗飼料の機能性の検討と給与技術の確立
研究機関名 島根県畜産技術センター
研究分担 酪農・環境グループ
研究期間 完H22~24
年度 2012
摘要 目的
、乳牛の乳量の低下や起立不能の原因となり、生産性を低下させる「低カルシウム血症」を予防するため、稲発酵粗飼料中のイオンバランス(DCAD)を適正にコントロールする生産技術とその給与技術を確立する。さらに稲発酵粗飼料の機能性を明らかにすることにより、酪農経営体における給与のきっかけとし、利用の推進と生産面積の拡大を促す。
、結果の概要
、(1)乳牛によるDCAD試験成績(H24年7月~12月)
、 DCAD値89の乾乳後期発酵TMRを用い経産牛6頭(2~6産、尿pH7.2~7.9)で確認試験を実施した。4頭(67%)で低Ca血症予防効果を認めた(血漿中Ca濃度7.5 mg/dl以上、分娩後12時間以内に後産排出)。予防効果が認められなかった2頭の概要は、分娩前、飼料中にCaを添加しなかった1頭(6産目、尿pH6.7)で分娩時のCa濃度6.7 mg/dlとなり後産停滞を認めた。しかし、血漿中Ca濃度は20時間後には9.1mg/dlと回復した。他の1頭は分娩後のカルシウム剤経口投与が遅れたため6.3 mg/dlとなり治療(カルシウム剤静脈注射1回)を実施した。これ以外に低DCAD飼料給与中に採食量が低下し、試験除外した牛も1頭認められた。以上のことから低DCAD飼料にはCaの添加が必要であり、嗜好性の維持および分娩時の速やかなカルシウム剤経口投与も必要であることが推察された。
、(2)低DCADイネ診断技術の検討
、 イネWCSの品種でDCADの違いがあることや水管理、収穫時期により低DCADイネの栽培が可能であることが明らかとなった。また、イネWCSのKおよびCl濃度を調べることで低DCADのWCSを選別し利用することが可能である。今回は、ほ場の土壌分析値とイネのDCAD値との関係を検討した。
、 圃場の土壌分析結果から、変動係数が最も大きい項目はSO42-、最小の項目はpHであった。また、栽培されたイネのミネラル成分とDCAD値から、変動係数が最も大きな項目はNaであり、最小はKであった。
、 相関行列を計算した結果、DCAD値と高め(今回の分析で)の関係を持つ圃場の分析値はpH、EC、Cl-、SO42-であった。また、Cl-はECと相関が高めの関係があり、SO42-と高い相関が認められた。pH、EC、SO42-を独立変数に用いた重回帰分散分析の結果、5%水準で有意となり、次式を用いた推定DCAD値が低い値の場合、測定したDCAD値と比較的残差が小さい傾向を認めた。

、圃場分析からのイネのDCAD値推定式 DCAD = pH×58.831 - EC×2520.532 - SO42-×1.112
カテゴリ 機能性 経営管理 診断技術 乳牛 品種 水管理

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