課題名 | 細菌・寄生虫感染症成立の分子基盤の解明と診断・防除のための基盤技術の開発 |
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課題番号 | 2012020398 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
森康行 |
協力分担関係 |
モントリオール大 東京大 大阪大 東京医科歯科大学 国立国際医療研究センター研究所感染症制御研究部 産業技術総合研究所 大阪府立大学 USDA 国立感染症研究所 JRA競走馬総合研究所 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2012 |
摘要 | より特異性が高く現場で簡便に診断できる手法の開発と侵入防止対策に関しては、a)ヨーネ病の研究では、ヨーネ病リアルタイムPCRキットについて動物用体外診断用医薬品製造販売の承認を申請し、平成24年12月13日に承認された。b)新たに開発した遺伝子組換え抗原を用いるMap-echA ELISAは、牛血清のプレートへの非特異的吸着を防ぐことが可能で、現行ELISAと比較して、特異性と抗体検出感度が共に高い検査法であることを明らかにした。c)ウシ由来RegⅢγの遺伝子組換え体はヨーネ菌と強く結合し、?濃度のRegⅢγの培養液への添加は菌の増殖を促進することを確認した。d)ヨーネ菌がストレス環境下におかれた際に発現するストレス関連タンパク質の遺伝子組換え抗原に対して、感染初期の子牛では抗体応答が認められることを明らかにした。e)ダニ由来生理活性物質のロンギパインとロンギスタチンを、ワクチン候補分子として接種した動物では付着したマダニが吸血阻害、産卵数低下及び卵から幼ダニへの孵化率の低下を起こすことを確認した。f)Eimeria tenellaによる鶏コクシジウム症では、第2代無性生殖期虫体の発育が宿主の病態を悪化させることを、レーザーマイクロダイセクション法を用いて発育期の虫体を単離することにより明らかにした。g)E. tenellaに対するin vitro薬剤評価系を構築し、殺虫効果のある化合物アトペニンA5を同定した。E. tenellaは低酸素環境下においても糖質をエネルギー源とするATP合成経路の存在を示唆し、その代謝経路はステージ変換にともない寄生適応していると推察した。h)ITS1-PCRとTth625-PCRを組み合わせることにより、国内分布トリパノソーマ種と海外悪性種の鑑別プロトコールを確立した。 病原体の伝播・存続様式の解明に基づく遮断方法の開発に関しては、a)放牧場における放牧条件やマダニ生息数調査を通じて現時点でのマダニ対策の問題点を検討し、情報を整理することにより有効な知見を得た。これらの知見を基に、薬剤と放牧・草地管理技術を組み合わせた効果的なマダニ対策プログラムを考案した。 効果的なワクチンや薬剤の開発に関しては、a)腐蛆病菌やパスツレラ科細菌等の病原性・増殖性等に関わる候補分子の解析では、Melissococcus plutoniusには、発育に高濃度Kを含むNa/K比1未満の培地を要求する典型株とNa/K比1以上でも発育する非典型株が存在し、遺伝子の変異が関係することがわかった。b)マイクロアレイ解析の結果、M. plutoniusの典型株と非典型株では、同じ条件で培養しているにもかかわらず多くの遺伝子の発現パターンが異なることを明らかにした。c)M. plutoniusの遺伝子操作系を開発する研究において、効率よくプラスミドDNAを導入するためには、対数増殖期のごく初期の菌細胞を用いてコンピテント細胞の調整を行い、12.5kV/cmの電圧をかけてエレクトロポレーションを行う必要があることを明らかにした。d)豚レンサ球菌の全血清型のcps locusの塩基配列を決定し、比較・解析により同定した複数血清型共通遺伝子や血清型特異的遺伝子を利用することで、PCRベースの莢膜関連遺伝子群(CPS)型別法を開発した。e)マーカー脱落操作用プラスミドを用いて、Histophilus somniの主要外膜タンパク質MOMP遺伝子改変株のマーカー遺伝子の脱落に成功した。 このほか、a)牛が高頻度に保有する腸管出血性大腸菌(EHEC)はO26とO157であり、人から分離されるEHECの血清型と相関していることを明らかにした。また、家畜から分離されたO157のうち一部は集団食中毒事例と遺伝子タイプが合致していることを確認した。b)牛の非侵襲血液成分測定技術について、測定部位を尾根部とし、測定用プローブ、測定機本体の試作を繰り返し、確立した3号機を用いて貧血牛のスクリーニングを行い、次に採血管装置によりヘマトクリット(Ht)値を測定することにより現場での迅速な貧血評価を可能とした。 |
カテゴリ | 管理技術 くり 測定技術 鶏 豚 防除 薬剤 |