農用地の生産機能の強化技術及び保全管理技術の開発

課題名 農用地の生産機能の強化技術及び保全管理技術の開発
課題番号 2012020443
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 塩野隆弘
中尾誠司
協力分担関係 (財)農村開発企画委員会
東京農工大学
三重大学
北海道大学
根釧農業試験場
岩手大学
農業環境技術研究所
那須町共同利用模範牧場
日本女子大学
栃木県畜産酪農研究センター
研究期間 2011-2015
年度 2012
摘要 農地からの環境負荷削減技術及び農地の排水性向上技術に関しては、a)平成23年度に引き続き転換畑圃場での硝酸態窒素の動態を観測した。硝酸態窒素排出削減対策として暗渠排水口に立ち上がり管を取り付けて地下水位制御を行った裸地条件の重粘土転換畑では、施肥後1.5か月間に暗渠からの硝酸態窒素排出量が対照区に比べて67%少なく、対策効果を確認した。b)原料及び炭化条件が異なる21種類の炭化物に関する水分特性曲線等を測定し、炭化物の保水機能特性を明らかにした。また、炭化物混入土壌の水分特性曲線は土壌及び炭化物の水分特性値と混入割合を変数とする関係式で予測可能であることを明らかにした。c)円筒を下層土まで打ち込んで測定した湛水開始60分後のインテークレート(水の浸入速度)と同測定の24時間後に測定した円筒内の作土の土壌水分張力との組合せを指標にして、転換畑の排水性を評価する手法を開発した。d)高機能型基盤整備のための権利調整等の促進条件の解明に関して、高機能型基盤整備を進めていく上でボトルネックになるのは農業生産の意欲が既に減退している土地所有者に事業参加へのインセンティブを与えることであり、創設非農用地換地による地元負担金の軽減(農地という現物で事業費を負担する)が有効策の一つであることを明らかにした。
耕作放棄地を草地として有効利用する技術に関しては、a)水田放牧における既設の電気牧柵用の太陽光発電システムに直流形揚水ポンプを組み合わせた新たな家畜飲水システムを構築するとともに、放牧現場へ導入して必要な飲水量の安定供給と電気牧柵システムへの影響がないことを確認し、家畜飲水システムの有効性を示した。b)室内実験において、菌根菌とシマミミズの共存により、牧草(バヒアグラス)の地上部乾物重、リン酸吸収量、窒素吸収量は増加し、菌根菌と土壌動物との協同効果によって牧草生育が促進されることを明らかにした。
耕作放棄地再生手法に関しては、a)耕作放棄地再生地区における現地実証試験に基づき、耕作放棄地再生条件として(1)ワークショップなどによる住民の認識共有化、(2)地域づくりにつながる作物選択、(3)地域住民を中心とした組織づくりと多様な主体による管理システムの構築、(4)圃場へのアクセス条件の改善、(5)地域の内発的努力を引き出すような行政支援が有効であることを明らかにした。b)事例調査に基づき、遊休農地や耕作放棄地を活用した農業と障害者福祉活動の連携による農作業の取組は、社会福祉施設が農業参入する際に生産者との農地利用の競合が回避できる点で導入しやすいという特徴と、再生による農地の価値向上に伴う貸借条件の変更により活動の持続性が懸念されるという課題を明らかにした。c)遊休農地を活用して農業生産に取り組む現場では、耕作面積が小さくかつ新規就農者が多いという実態が明らかになり、取組推進の条件として共同出荷型のCSA(Community Supported Agriculture、生産者と消費者が長期間に農産物売買契約を結び相互に支えあう仕組み)導入の必要性を提示した。d)農業経営の多角化への推進要因を明らかにするため、T県における圃場整備による農業生産基盤の条件整備と農業経営の多角化に向けた各種の取組事例を分析して、(1)基盤整備事業計画段階における集落での合意形成の徹底、(2)省力化による余剰労働力と時間の捻出、(3)農地の汎用化と水利用の自由度の拡大、が農業経営の多角化への推進要因であることを明らかにした。
カテゴリ 管理技術 管理システム 経営管理 出荷調整 省力化 水田 施肥 排水性

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