課題名 | メタボローム解析やエンドファイト利用による作物の養分循環機能活用生産技術の開発 |
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課題番号 | 2013023055 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
松永俊朗 |
協力分担関係 |
道総研・花・野菜技術セ 鹿児島大学 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2013 |
摘要 | エンドファイトの共生による窒素固定の制限要因と活用条件の解明に関しては、a) カンショから分離した窒素固定エンドファイトBradyrhizobium属AT1株から、抗生物質二重耐性株を再分離した。その耐性株を用い、カンショ根を菌液に30分間浸漬接種することで、競合菌が 多数存在する土壌栽培条件においても、感染・定着させ得ることを明らかにした。b) 堆肥から水抽出(80℃16時間)される有機態窒素の アミノ酸組成は、牛ふんではアルギニン、豚ふんではグリシン、鶏ふんではグルタミン酸が多いことを明らかにした。また、牛ふん堆肥添加土壌から水抽出されるタンパク質態窒素では、5か月培養によって含塩基性アミノ酸タンパク質の減少が顕著であることを明らかにした 。c) 牛ふん堆肥の水抽出物に含まれる有機態窒素の主成分であるタンパク質態窒素は、腐植酸様物質と結合していることを、サイズ排除 高速液体クロマトグラフィーによる分離、並びに化学発光窒素検出によるタンパク質態窒素と波長420nm吸光度による腐植物質の同時検出 により、直接的に明らかにした。 メタボローム解析を用いた栄養・ストレス診断及び品質評価技術の開発に関しては、a) 有機栽培と慣行栽培のリンゴ(ふじ)果実を対象 に、熟練者による官能評価と機器分析(GC/MS)による代謝物分析を行い、有機栽培のリンゴの香味特性は慣行栽培とは異なること、官能 評価と香味成分組成とには高い相関関係があること、及び有機栽培での香味成分組成の変動はエチレン生成量の減少に由来することを明らかにした。b) ニンジンでは、キタネグサレセンチュウの接種により病害虫抵抗性に関連する揮発性成分の濃度が高まることを見出した。c) 有機栽培のホウレンソウの低分子水溶性代謝成分組成を測定し、バリン、セリン等の含有率が慣行栽培よりも低いこと、土壌窒素肥沃度や植物体窒素含量には栽培法による差が見られず、アミノ酸含有率の低下は土壌からの窒素供給量以外の要因で生じることを明らかにした。d) 開発を進めている細胞壁成分のホウ酸架橋率を指標とするホウ素欠乏診断法を、農家圃場で発生したソラマメ莢の黒変障害に適用し 、本診断法による作物のホウ素欠乏診断を現場において実証した。e) 作物の抗酸化システムに及ぼす土壌の抗酸化成分の影響について、 土壌有機物主成分で抗酸化活性を持つ腐植酸の添加により、コムギ種子幼根の酸化ストレス及びエチレン暴露による伸長抑制や迷走が軽減されるとともに、ストレス応答物質である過酸化水素が幼根内で減少することを、新たに抗酸化活性評価法として考案した化学発光in situ測定法で確認した。 |
カテゴリ | 有機栽培 害虫 かんしょ 栽培条件 そらまめ 抵抗性 鶏 にんじん 評価法 豚 ほうれんそう メタボローム解析 りんご |