課題名 | 有機農業の成立条件の科学的解明と栽培技術の体系化 |
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課題番号 | 2013023063 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
三浦重典 中山壮一 |
協力分担関係 |
カネコ種苗 雪印種苗 東京農工大 鹿児島農開総セ 農環研 農工大 山形大 (有)ユニオンファーム 秋田県立大 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2013 |
摘要 | 水田作、畑作における有機輪作モデル体系の構築に関しては、a) 水稲有機栽培モデル体系を実践した圃場試験では、高精度水田用除草機+米ぬか散布等の抑草技術により高い雑草抑制効果を認め、肥培管理を適切に行うことで慣行栽培の9割以上の収量が得られることを明ら かにした。本技術を中心に、水稲有機栽培の現地実証に活用するための「水稲有機栽培技術マニュアル(暫定版)」を作成した。b) 米ぬ か散布等によるコナギの発芽抑制には、数種の芳香族カルボン酸が関与している可能性を認めた。c) ホウレンソウの萎凋病に対して、カ ラシナやダイコン残渣などの植物資源を土壌に鋤き込んで灌水・密封する生物的土壌消毒法は、フスマを用いた土壌還元消毒とほぼ同等の発病抑制効果を示した。また、本消毒法では、酢酸、酪酸等の抗菌物質を産生するクロストリジウム属菌を主体とする嫌気性細菌が一時的に土壌に集積することを明らかにした。d) バイオフューミゲーション(生物的薫蒸)を活用したホウレンソウ等の有機栽培技術などを取 りまとめた技術解説資料として、「有機農業実践の手引き」(平成25年5月)を作成し、ウェブサイトに公開した。e) リンゴの有機栽培において、結実早期の袋掛はシンクイムシやすす斑病等の病害(特に防菌袋使用の場合)による果実被害を抑制することを確認した。また、春期のマシン油散布により、ナシマルカイガラムシの発生を抑え、果実寄生も抑制することができた。食酢散布による直接的な病害虫防除効果はほとんどないことを確認した。f) レタス有機栽培の育苗時におけるくん炭覆土は、有機JAS対応液肥等を使用してもレタス苗の生育を促進することを確認した。また、菌核病抑制に有効なUVカットフィルム被覆は、着色系レタスのアントシアニン含量をやや低下させるが、生育については促進効果を認めた。 有機農業の生産技術体系の構築に関しては東北地域では、a) 低温燃焼によって可溶性ケイ酸含量を高めた籾がら焼却灰の施用は、ケイカ ルやシリカゲルなどのケイ酸資材を施用した場合とほぼ同等のイネいもち病発病抑制効果を確認した。b) 日本海側現地実証農家の発酵鶏 ふんとチェーン除草を用いた水稲有機栽培圃場では、慣行栽培の収量539kg/10aを上回る593kg/10aを得て、60kg当たり生産費(地代込み)は慣行栽培の12,681円に対して12,262円を達成した。c) 寒冷地を対象とした土づくりや病害虫・雑草抑制法に関する有機水稲栽培管理マ ニュアルを策定した。南九州地域では、a) 有機輪作体系における土壌分析の結果より、焼酎廃液濃縮液を畦内へ均等に混和するように施 用方法を改善することで肥料の利用効率が増加することを確認した。また、マルチ穴の縮小、効率的な除草器の導入及び除草作業の早期化により雑草管理に要する時間を大幅に短縮した。有機圃場でのホウレンソウ作は、大株収穫の場合に葉の黄化や生育の遅延があり、加工用としての利用が困難であるが、青果用としては十分な生育が得られ、利用可能と判断した。b) ダイコンとカンショの畦連続使用栽培によ って、カンショの線虫害が軽減することを見出した。 有機農業の持続性評価手法の開発については、有機農業の持続性評価手法の開発に関しては、これまでに作成してきた農業LCIデータベー スを発展させ、水稲作、畑作、野菜作及び関連する農業投入財等のモジュールの追加と精緻化を行った。このデータベースを有機輪作体系と慣行輪作体系の比較に活用し、温室効果ガス排出量等の様々な環境影響と収量とのトレードオフが数量的かつ視覚的に検討可能とした。 |
カテゴリ | 病害虫 肥料 土づくり 有機栽培 有機農業 育苗 いもち病 害虫 加工 からしな かんしょ 栽培技術 雑草 除草 除草機 水田 だいこん データベース 土壌消毒 鶏 肥培管理 病害虫防除 ほうれんそう りんご 輪作 輪作体系 レタス |