| 課題名 | セルロース系バイオマスエタノール変換の高効率・簡易化技術の開発 |
|---|---|
| 課題番号 | 2013023093 |
| 研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
| 研究分担 |
矢部希見子 |
| 研究期間 | 2011-2015 |
| 年度 | 2013 |
| 摘要 | 未利用、低利用のセルロース系バイオマスの原料特性評価と粉砕・前処理技術の最適化に関しては、a) 乾燥稲ワラ粉末及び乾燥エリアンサス粉末中の主要成分を測定し、稲ワラはエリアンサスの約2倍量の易分解性糖質及び3倍量以上の灰分を含むのに対し、リグニン及び高付加価値物質p-クマル酸についてはエリアンサスの方が稲ワラよりそれぞれ1.6倍及び3倍程度多いことを明らかにした。b) 稲ワラ(コシヒ カリ、リーフスター、ベコアオバ)及びソルガム稈部(メートルソルゴー、高糖分ソルゴー、SIL-05)は、いずれも市販セラミドの原料である米糠よりセラミドを高濃度含むこと、セラミド主要構成成分は米糠由来セラミドと同様であることを見出した。また、エタノールを用いたセラミド抽出法を確立した。c) 植繊機を用いた湿式粉砕により、原料繊維の細断及び解繊を効率的に行うことができ、さらに、原料 、アルカリ、水の混合が可能であることを確認した。 革新的要素技術開発に関してはa) 糖化酵素生産において、トリコデルマ・リーセイ変異株を用いて、グルコース、セロビオース、キシロ ース及びアラビノースの糖混合液で20日間程度、糖化酵素の半連続培養生産を行い、安定した組成の酵素液(220~260 FPU/g-炭素源)を 得た。b) 糖混合液の代わりに稲ワラ糖化液上清を原料として1週間の連続フィード培養を行い、300FPU/g-炭素源以上の高いセルラーゼ生 産効率を達成した。また、この酵素液にはヘミセルラーゼが多く含まれていることを見出した。c) Caldicellulosiruptor besciiの新規セルロース結合タンパク質CBP49が、キシラン、アビセル、キシロビオース等の様々な基質に結合することを明らかにした。さらに、CBP49及びX6(キシロヘキサオース)からなる結合複合体の結晶化に成功し、X線解析データを得た。d) 二酸化炭素加圧糖化リアクターの利用により、稲ワラでは原料中の糖質の80.6%、エリアンサスでは68.1%を可溶化して回収し、濃度15%(w/v)以上の糖液が得られることを明ら かにした。この高濃度糖液製造についてはプレスリリースを行った。e) CaCCO法-二酸化炭素加圧糖化工程の評価を目的として、10kgスケ ール湿式粉砕処理稲ワラのCaCCO処理物に対して、オンサイト酵素及びβ-グルコシダーゼ製剤を添加し、スラリー濃度20%(w/w)、CO2分圧0.9MPaの条件下で40℃、72時間の糖化反応を行い、糖質可溶化率80%及び可溶化糖に対する酵素量15mg/gを達成した。f) 発酵技術の開 発に関しては、高濃度稲ワラ糖化液(スラリー濃度20%(w/w)相当)に対してキシルロキナーゼ高発現遺伝子組換え株Saccharomyces cerevisiae St10 dgXK1の発酵試験を行い、親株よりキシロース発酵能力の上昇を認めた。発酵時間168時間の発酵収率は理論収率の80%、稲 ワラ中の糖全体に対する収率は55%であった。g) 同種のキシルロキナーゼ遺伝子(XKS1)を導入して同酵素活性を増強したセルフクロー ニング株S.cerevisiae St10 TEF1p-XKS1及びCandida glabrata 3163 SdgXK2を作出し、キシロースの同時異性化発酵能を検討したところ、40℃、72時間で、St10 TEF1p-XKS1では理論収率の88%、3163 SdgXK2では理論収率の87%に相当するエタノールを得た。h) C. glabrataのアルドース還元酵素欠損株3163 SdgXK2は、非欠損株より顕著にエタノール収率が上昇することを明らかにした。一方、S. cerevisiaeではアルドース還元酵素欠損の効果は認められないことを明らかにした。i) 異なる高温耐性能を有するC. glabrata 3菌株を用いてDNAマイク ロアレイ解析を行い、FMP21遺伝子が高温で高発現すること、さらに同遺伝子を欠損させると高温感受性株に変化することを観察し、FMP21が高温耐性に重要な遺伝子であることを明らかにした。また、硫酸耐性を有するC. glabrta酸耐性変異株を分離し、親株とともに全ゲノム配列を決定した。 副産物のカスケード利用技術の導入等に関しては、a) 稲ワラのCaCCO法及びエリアンサスのSRB-CaCCO(simultaneous recovery of by-products-CaCCO)法を用いた想定プロセスについて、酵素生産工程での糖化液利用により約11%のコスト削減、バッチから半連続培養への変 更で約39%のコスト削減が可能であると推定した。b) 工程ごとの固定費の内訳を解析し、蒸留工程のコストが大きいことを確認した。ま た、酵素生産工程のCO2排出量の内訳を調べたところ、電力由来の排出量が大半を占め、酵素投入量の削減及び酵素生産速度の向上の目標 達成により排出量を大きく削減できることを明らかにした。 このほか、a) バイオディーゼル製造時に副生する廃グリセリンの有効利用を目的として、山ブドウから分離したPseudozyma parantarctica TYC-2187を初発グリセリン濃度80g/Lで培養した場合、2日後には97%のグリセリンが消費され、培地1L当たり29gの乾燥菌体(トリグリ セリド含量55%)が得られることを明らかにした。菌体由来油脂(トリグリセリド)は、菜種及び廃食油を原料とした場合と同様の品質を示した。生乳から分離したKluyveromyces marxianus TYC-1537では、ソルガム搾汁液1Lから4.1gのトリグリセリドを得た。 |
| カテゴリ | 乾燥 高温耐性 高付加価値 コスト ソルガム ぶどう |