課題名 | 生体防御作用に関する健康機能性解明と有効利用技術の開発 |
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課題番号 | 2013023098 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
鈴木チセ 石川祐子 |
協力分担関係 |
国際農研センター |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2013 |
摘要 | 農産物・食品の生体防御に関わる健康機能性の評価技術と関与成分の科学的実証に関しては、a) ハーブ類約30種類を用い、それらの抗酸化能を評価するとともに、脱顆粒モデルとして用いられるRBL-2H3細胞に対する抗原特異的脱顆粒抑制活性を見出した。b) オオムギのジクロロメタン抽出物に含まれるナチュラルキラー細胞(NK細胞)活性化成分をリノール酸と同定し、標品での活性も確認した。c) ネギ粘液 をマウスに経口投与すると腹腔マクロファージ、脾臓細胞、NK細胞が活性化することを見出した。d) 水出し緑茶(高エピガロカテキン(EGC)茶)の連続飲用によって免疫グロブリンIgA生産能の上昇など生体防御能を活性化できることをヒト介入試験で明らかにした。e) アレルギー性鼻炎有症者のヒト介入試験にて、メチル化カテキン高含有茶にタンニン類高含有茶を組合せて飲用する群では、メチル化カテキン高含有茶のみを飲用する群に比べてIgE上昇が抑制されることを見出した。f) 今回分離した漬物由来乳酸菌はイソフラボン配糖体をアグリコンに変換する活性を有し、その代謝活性は、ゲニスチン配糖体よりもダイジン配糖体に対する活性が強い傾向を認めた。g) 細胞内酸化 作用の防御等にかかわる乳酸菌の活性成分の特定に関しては、乳酸菌Lactobacillus plantarum LQ80が産生する菌体外多糖について、分子量の異なる3画分のそれぞれ異なる抗酸化活性と抗炎症効果を明らかにした。h) 角化細胞においてケモカイン受容体の一種がラクトフェリン受容体として機能すること、またラクトフェリンは角化細胞の分化マーカーの発現を促進することを明らかにした。i) マウスマクロフ ァージ様細胞RAW264にグラム陰性菌細胞壁外膜の構成成分であるリポ多糖(LPS、エンドトキシンの一種)を添加すると炎症反応として一 酸化窒素(NO)合成酵素が合成されNO産生が増加するが、α,β-不飽和カルボニル構造をもつキサントフィル代謝産物はこの酵素の誘導並びにNO産生を抑制することにより抗炎症作用を示すことを明らかにした。j) ヒト網膜色素細胞ARPE-19内に取り込ませたカロテノイドの青色光に対する安定性を検討したところ、ルテインとゼアキサンチンは他のカロテノイドに比べ高い光安定性を有することを見出した。このことは、網膜黄斑のカロテノイドとしてルテインとゼアキサンチンだけが特異的に集積している理由の一つと考えられた。k) ノビレチン はNK細胞におけるインターフェロンIFN-γの産生を増強することを明らかにした。l) コーヒーに含まれるジテルペン化合物カーベオール がNK細胞KHYG-1を活性化することを見出した。その作用機序は、KHYG-1におけるグランザイムBの増加及びその遺伝子発現制御に関わる可 能性がある転写因子ATF-2及びc-Junのリン酸化レベルが上昇することであることを明らかにした。m) 茶葉中EGCの作用メカニズムとしては、茶葉中EGCは、レドックス感受性の陽イオンチャネルであるTRPM2を活性化することによりマクロファージの活性化を誘導することを明らかにした。 機能性成分を高めた農作物の生産方法と食品の開発に関しては、a) 茶葉の機能性成分をその成分に適した温度で簡易・効率的に抽出でき る給茶機を開発した。b) ネギ未利用資源である切除した葉身部を回収するシステムを構築し、一度に30kgの抽出粉末が製造できるプラン トを開発した。c) 乳酸菌Lactobacillus plantarumが生産する芳香族乳酸の光学活性はL型と同定し、芳香族乳酸は光学活性に関係なく紫 外線照射による角化細胞の炎症作用を抑制することを明らかにした。 |
カテゴリ | 大麦 機能性 機能性成分 茶 ねぎ 評価法 未利用資源 |