果樹病害虫発生予察事業 、 1,指定・重要病害虫に関する発生予察

課題名 果樹病害虫発生予察事業 、 1,指定・重要病害虫に関する発生予察
研究機関名 山梨県果樹試験場
研究分担 病害虫科
研究期間 継(S40)~ 、継(S40)~
年度 2013
摘要 (1)主要病害虫の発生消長調査
、1) 主要病害虫に関する発生状況調査
、a モモ縮葉病、灰星病、黒星病の発生調査
、例年、場内の無防除樹において、モモ灰星病(花腐れ)が観察されることは少ないが、本年は開花~落花期に、曇雨天が続いたため、発病が認められた。また、モモ縮葉病の落花終期における発病葉そう率は、昨年よりも多かった。モモ黒星病については、6月下旬から発生が認められ、7月以降には発病果率、発病度ともに増加したが、昨年よりは進展が遅かった。
、b ブドウのチャノキイロアザミウマ発生消長調査
、黄色粘着シートによる調査の結果、初誘殺は6月1半旬に確認された。誘殺虫数は6月下旬になると急激に増加した。今年は県内全般に被害が多発傾向であったが、調査ほ場における誘殺虫数はH23~24よりも少なかった。
、2) 予察灯とフェロモントラップによる調査
、a 果樹カメムシ類、モモのチョウ目害虫、スモモヒメシンクイの調査
、カメムシ類の予察灯への誘殺虫数は多く、被害も多かった。フェロモントラップへの、モモシンクイガ、リンゴコカクモンハマキの誘殺虫数が多かったが、県下全般としては平年並であった。モモハモグリガの誘殺量は、越冬世代から平年よりも少なく経過した。
、b ブドウのトリバ類調査法の検討
、(a)  ブドウオオトリバ
、フェロモンの構成パターンを組み替えた複数種のルアーを供試したところ「Z7+Z5+Z9」と「Z7+Z5」への誘殺虫数が有意に多かった。「Z7+Z5+Z9」と「Z7+Z5」の間で有意な差が認められなかったことから「Z9」には活性がないと考えられた。「Z7」と「Z5」の比率を変えたところ、「Z5」を増やすことで、誘殺虫数も増加する有意な相関が認められた。
、(b)  ブドウトリバ
、 フェロモンの構成パターンを組み替えた複数種のルアーを供試したところ「Z7」に誘引活性が認められた。これに「Z5」を追加すると、ブドウトリバへの誘引力は、ほぼ無くなるが、変わってブドウオオトリバに誘引性を示すようになることから、「Z5」が両種の生殖的隔離に寄与していると考えられた。
、3) カイガラムシ類に関する調査
、a カイガラムシ類の幼虫発生時期調査
、 場内のモモ、オウトウを対象に、毛糸トラップを用いて調査したところ、ウメシロカイガラムシならびにクワシロカイガラムシの年3回の幼虫発生時期を把握できた。モモでは、第1世代幼虫の発生ピークは5月中旬であった。第3世代は例年よりも発生期間が長く、8/31から10/19まで誘殺が認められた。8~9月の高温によるカイガラムシ類の発育遅延の影響が考えられた。
、b ブドウのコナカイガラムシ類の幼虫発生時期調査
、 ブドウ樹上に両面テープを貼付し、幼虫の発生時期を調査した。3回の時期に渡って、合計10頭のカイガラムシ類の幼虫が捕獲できたが、数が少なく、また、両面テープ上に固定されているため、同定が困難であった。次年度はバンドトラップなどのより簡便な手法を検討する。
、c モモの二重袋がカイガラムシ類の増殖場所となる可能性の検証
、 主枝単位で使用する果実袋を変え(二重袋、KMP、無袋)、二重袋は、内袋が枝上に残るように除袋した。11/13に調査を実施し、着果部位周辺の枝に寄生しているウメシロカイガラムシとクワシロカイガラムシの頭数を計数したところ、無袋またはKMPを使用した場合と比較して、二重袋では、寄生虫数が有意に多かった。
、4) ブドウのチャノキイロアザミウマに対する有効薬剤の検索
、笛吹市一宮町と、甲州市勝沼町から採集した個体群を供試した。死虫率の高い薬剤は、アーデント水和剤、アニキ乳剤、ディアナWDG、コテツフロアブルの4剤であった。サムコルフロアブル10、ダントツ水溶剤、パダンSG水溶剤の死虫率は低かった。ダントツ水溶剤については、昨年、試験した4000倍に続いて、2000倍でも死虫率が低かった。
、5) 交信かく乱剤利用圃場における害虫の発生消長調査法
、交信かく乱剤を処理している地域において、モモのモモハモグリガを対象に、コンフューザーMM(5~20本)をトラップの誘引剤に用いると、交信かく乱剤処理条件下においても、発生消長を把握することが可能であった。誘引剤のコンフューザーMMを、1ヶ月毎に交換した場合と、調査開始から終了まで、連続使用した場合の誘殺虫数に、有意な差は認められなかった。
、6) モモのモモシンクイガにおける新型フェロモンルアーの誘引効率
、モモのモモシンクイガを対象に、新たに第2成分の性フェロモンを混合した新型ルアーを用いて誘殺虫数を調査した。第2成分の合成ルートならびに第2成分の比率による誘殺虫数に有意差は認められなかった。フェロモン含浸量が5~100mg/ルアーの範囲では、含浸量が多くなると、誘殺虫数も有意に増加した。
、7) チャバネアオカメムシに対する有効薬剤の検索
、 モモ幼果を各薬剤に浸漬し、場内に設置した集合フェロモントラップで採集したチャバネアオカメムシを接種したところ、高い死亡率を示したのは、合成ピレスロイドではスカウトフロアブル、テルスターフロアブルの2剤、ネオニコチノイドではアルバリン顆粒水溶剤の1剤であった。
、 ネオニコチノイド系薬剤を処理したモモ幼果に接種した個体は、動きが全般的に緩慢になっており、苦悶の状態までには至らないものの、行動阻害を受けていると考えられた。その程度は、アルバリン顆粒水溶剤が最も高く、続いてアドマイヤーフロアブル、ダントツ水溶剤であった。モスピラン水溶剤では影響はほとんど認められなかった。
、8)ストロビルリン系薬剤にかわるブドウべと防除薬剤の選抜
、各種薬剤の予防効果では、アリエッティC水和剤、オーソサイド水和剤80、ドーシャスフロアブル、レーバスフロアブル、ベトファイター顆粒水和剤は、対照のジマンダイセン水和剤とほぼ同等で、散布14日後接種でも発病が認められず、防除効果が高かった。感染後・発病前では、リドミルMZ水和剤、ベトファイター顆粒水和剤、ホライズンドライフロアブルは発病が認められず防除効果が高かった。発病後では、ベトファイターだけが防除効果が高かった。
、9)ブドウ黒とう、つる割病に関する試験
、a 各種休眠期防除薬剤の防除効果
、 黒とう病に対してはデランフロアブルの効果が高かった。またトップジンMペーストの効果も高かった。ベンレート水和剤とベンレートT水和剤は効果が同等であった。つる割病については、パスポートフロアブル、デランフロアブルの効果がやや高かった。
、b 各種生育期防除薬剤の防除効果
、 黒とう病に対してはデランフロアブル、オーソサイド水和剤、アフェットフロアブル、キノンドー水和剤の効果が高かった。つる割病についてはデランフロアブル、オーソサイド水和剤、キノンドー水和剤の効果が高かった。
、防除体系の検討は、中発生条件下の試験となった。休眠期+展葉5~6枚散布区(対照:慣行)と比較し、休眠期+展葉2~3枚散布区の防除効果がやや優った。
、c 休眠期防除薬剤の散布時期の検討
、 シャインマスカットの黒とう病とつる割病を対象に、ベンレート水和剤(200倍)、デランフロアブル(200倍)を供試し、休眠期(4/9)もしくは萌芽期(4/27~5/1)に散布したところ、両病害ともに、散布時期に関係なくデランフロアブルの発病葉率、発病度は低く、散布時期よりも散布薬剤の影響が大きかった。萌芽期にデランフロアブルを使用した区において、葉に微小な穴が発生する薬害が認められた。
カテゴリ うめ おうとう 害虫 カメムシ 黒星病 性フェロモン 発生要因分析 フェロモン ぶどう 防除 もも 薬剤 りんご

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