課題名 | リンゴ摂取と生活習慣病予防効果の関係解明のための疫学研究 |
---|---|
課題番号 | 2013023673 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 弘前大学医学部医学科 |
研究期間 | 2011-2013 |
年度 | 2013 |
摘要 | 生活習慣病は慢性炎症を伴う疾患として知られ、その病態形成にサイトカインが深く関与することが報告されている。また、食品機能性による生活習慣病の予防効果は様々な食品成分で報告されているが、1000人規模の被験者を対象として血中サイトカイン量と生理指標との関連を解析した研究は国内外において報告例がない。そこで、本研究ではH24年度の岩木健康増進プロジェクト実施時に採取した末梢血を用いてC-peptide、visfatin、insulin、IL-1β、IL-6、TNF-α、adiponectin、leptin、resistin、PAI-1、ghrelin、endothelin-1で、Bio-Plex Precision Proヒトサイトカインイムノアッセイパネル法にて解析し、リンゴ摂取と生活習慣病(肥満、動脈硬化、糖尿病、脂質異常症)との関係を医学的観点から包括的かつ詳細に検討し、生活習慣病の改善、予防に対するリンゴ摂取の効果を検証した。昨年度本プロジェクトで実施したH23年度採血分の調査では、男性では、血糖値に関係するサイトカインであるC-peptideとリンゴ摂取頻度との間に負の相関を認めた(p<0.05)。また、adiponectinがリンゴ摂取頻度と正の相関を示し、IL-6とleptinがリンゴ摂取頻度と負の相関(p<0.05)を示した。女性では、リンゴ摂取頻度とIL-1β、IL-6が正の相関を示し、男性とは異なる関係が見られた。しかし、今年度解析を行ったH24年度採血分においてはH23年度と異なりC-peptide、IL-1β、TNF-α、adiponectin、PAI-1と関連を示さなかった。一方、H23年度と同様にIL-6と負の相関を示した。IL-6は肥満と正の相関を示すこと、また、慢性炎症患者においても健常人と比べて高値を示すことが報告されており、H23年度とH24年度の調査において、IL-6がリンゴ摂取頻度と負の相関(p<0.05)を示したことは、リンゴ摂取により肥満が抑制される可能性を強く示唆するものである。また、H24年度の調査において、男性では中性脂肪や総コレステロール、LDLコレステロールとリンゴ摂取頻度との間に負の相関関係がみられた。さらに、男性65歳以上では、リンゴ摂取者の方が動脈硬化症の判定指標である動脈硬化度baPWVおよび収縮期血圧が低値であった。これらの結果から、リンゴ摂取が慢性炎症を伴う生活習慣病の予防に寄与する可能性が示唆される。本研究は横断研究であり、実施年度や対象住民によって解析結果が異なることがある。今後、個人差を検討できる利点がある縦断研究を組み合わせることによってリンゴ摂取頻度と生活習慣病との関係をより詳細に解明することが可能となるであろう。 |
カテゴリ | 機能性 りんご |