課題名 | 新規直播技術を核とした安定多収水田輪作技術の開発 |
---|---|
課題番号 | 2014025507 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
住吉正 |
協力分担関係 |
福岡県北筑前普及指導センター 福岡県農業総合試験場 佐藤商会 熊本大学 (株)エス・ディー・エス バイオテック 佐賀県農業試験研究センター 上峰町(佐賀県内) 佐賀県三神改良普及センター |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | 汎用利用可能な表層散播機や、新規苗立ち促進素材等を用いた水稲直播栽培技術に関しては、 a) 降雨の多い時期には排水を行い、降雨の少ない時期には地下水位を-30cmに設定して地下灌漑を行う気象条件に対応した地下水位制御により、地下水位-30cm一定区及び常時排水区と比較して、「フクユタカ」で約11%、「サチユタカA1号」で約25%の増収効果を確認した。 b) 福岡県筑後市の現地水田(5ha)で、多目的播種機による「べんがらモリブデン被覆」種子の水稲湛水直播を実施したところ、十分な苗立ちと移植と同等の収量を得た。また、佐賀県上峰町の現地水田(7ha)で行ったショットガン直播機による「べんがらモリブデン被覆」種子の湛水直播においても十分な苗立ちが得られた。 c) 国内各地における「べんがらモリブデン被覆」種子の水稲湛水直播では、従来法と同等、又は実用上問題ない苗立ちが得られたが、鉄コーティング種子に比べて著しく雀害を受けた圃場があった。 d) 表層散播機による水稲乾田直播・ムギ播種等を行い、一工程播種(作業能率17~24分/10a)による省力性や耐天候性を確認した。メーカーとの共同研究等をすすめ、市販表層散播機の性能向上に目処を付けた。 e) 春播きソバの表層散播によって、出芽数124本/m2、坪刈収量292kg/10aが確保され、条播と同等の結果を得た。春播きソバの収穫は、黒化率41%時にダイズ用コンバインを用いて実施することにより、コンバイン収量237kg/10a(坪刈収量の89%)を得た。 f) 水稲乾田直播を組み込んだ福岡県みやま市の現地実証試験では、振動ローラによる1回の鎮圧によって減水深は20mm/日以下となり、透水性を制御できることを実証した。同圃場を用いて直播適性の高い水稲多収品種「たちはるか」を表層散播で乾田直播したところ、579kg/10a(平成26年度の福岡県平均単収に比べ約21%増)の多収を記録した。 g) 上峰町の現地実証試験ではアップカットロータリを活用したダイズ密条播機による「サチユタカA1号」の狭畦栽培を実施し、収量322kg/10aを確保した。 h) 現地実証試験における新規輪作体系の60kg当たり費用合計は、表層散播による水稲乾田直播を組み込んだ体系で水稲9,689円・ダイズ11,912円、水稲湛水直播を組み込んだ体系で水稲10,718円・ダイズ11,447円で、平成20年産の費用合計(九州・平均値)に対し、前者で水稲41%減・ダイズ18%減、後者で水稲35%減・ダイズ21%減であった。 合理的な資材の投入による土壌管理技術及び雑草管理技術に関しては、 九州地域において、 a) 麦作難防除雑草カズノコグサについて、コムギを10%以上減収させる発生量を300個体/m2とし、これに必要な前作ムギ収穫時のカズノコグサの散布種子数27,000粒/m2、穂数47本/m2を総合防除技術導入の目安に設定した。これにより埋土種子診断法の完成度を高めた。 b) 除草剤抵抗性スズメノテッポウ対策として開発した耕種的防除法の浅耕播種を活用する総合防除技術を、カズノコグサ及びネズミムギの現地多発圃場において導入し、両雑草種に対しても有効であることを実証した。 c) 除草剤抵抗性スズメノテッポウやカラスノエンドウ等の難防除雑草が発生しないムギ作圃場において、事前浅耕と浅耕播種による耕種的防除法と播種前の非選択性除草剤と生育期茎葉処理剤散布の体系を用いることで、除草剤使用量を最大で慣行の約6割程度削減できることを明らかにした。 |
カテゴリ | 病害虫 乾田直播 管理技術 狭畦栽培 雑草 直播栽培 除草剤 水田 水稲 総合防除技術 そば 大豆 抵抗性 低コスト 土壌管理技術 難防除雑草 播種 品種 防除 輪作 輪作体系 |