課題名 | 低コスト栽培向きの飼料用米品種及び稲発酵粗飼料用品種の育成 |
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課題番号 | 2014025523 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
石井卓郎 |
協力分担関係 |
国際農林水産業研究センター熱帯島嶼研究拠点 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | 稲発酵粗飼料用多収イネ品種に関しては、 a) 東北中部以南向けの耐塩性に強い稲発酵粗飼料用系統「関東飼265号」は、黄熟期乾物重が高くTDN収量は1.2t/10aを示すことから品種登録出願することとした。 b) 縞葉枯病抵抗性を有する「関東飼258号」は、標肥栽培、多肥栽培ともに乾物重が高く、多肥栽培におけるTDN収量は1.2t/10aであった。栃木県那須町の現地試験でも「たちすがた」よりも多収で有望であった。 c) いもち病抵抗性と耐冷性に優れる「北海328号」のTDN収量は、多肥栽培で「きたあおば」より6%多収であった。 d) 新配付系統として、近農研では、縞葉枯病抵抗性を有する小穂系統で、「たちすずか」熟期の晩生系統「中国飼219号」(TDN収量:1.1t/10a)及び極晩生系統「中国飼220号」(TDN収量:1.2t/10a)を開発した。 e) 有望系統として、東北研では、耐冷性に優れ、直播栽培適性のある茎葉多収型の「羽系飼2039」を選抜した。中央研では、米麦2毛作向けに早生で縞葉枯病抵抗性の小穂系統「収9689」を選抜するとともに、低ケイ酸性系統の選抜を進めた。九州研では、早生熟期で多収の「飼19」(TDN収量:1.0t/10a)、縞葉枯病抵抗性で低リグニン性の「飼288」(TDN収量:0.9t/10a)を選抜した。北農研では、小穂性や低リグニン性を導入した消化性向上系統育成のための個体選抜、系統選抜を進めた。 飼料用米向け多収品種に関しては、 a) 関東以西向けの「関東264号」は、多収品種「タカナリ」の脱粒性を改善した多収系統で、多肥栽培における粗玄米収量は0.94t/10aと「タカナリ」より7%多収で、玄米はやや細長く外観品質が劣るため識別性を有することから品種登録出願することとした。 b) いもち病抵抗性と耐冷性に優れる「北海327号」、「北海328号」及び「北海329号」は、いずれも「きたあおば」以上の収量性を示した。特に、「北海327号」の粗玄米収量は極多肥栽培において1.1t/10aを示した。 c) 「奥羽421号」の粗玄米収量は多肥栽培で0.86t/10aであり、「ふくひびき」より12%多収であった。 d) 縞葉枯病抵抗性系統「関東271号」の粗玄米収量は多肥栽培で0.98t/10aであり、「北陸193号」より13%多収であった。 e) 新配付系統として、中央研では、いもち病抵抗性遺伝子Piaのみを有し、粗玄米収量が多肥栽培で「北陸193号」並の0.82t/10a、標肥栽培においても0.80t/10aを示す「北陸267号」を開発した。九州研では、縞葉枯病抵抗性の早生で、「夢あおば」熟期の「西海300号」(粗玄米収量0.71t/10a、日本晴比138%)及び「ホシアオバ」より5日早い熟期の「西海301号」(0.68t/10a、日本晴比130%)を開発した。 f) 有望系統として、東北研では耐冷性に優れる「羽系1714」、粗玄米収量が0.91t/10aの「羽系2016」を選抜した。中央研では極多肥栽培で粗玄米重が0.90t/10a(「北陸193号」比109%)の「収9532」を選抜した。近農研では大粒で識別性があり粗玄米収量0.96t/10a(「北陸193号」比110%)の「多収系1261」を選抜した。 g) 除草剤感受性を導入した有色米について、作物研では、「朝紫」を母本に用いた「和2787」の粗玄米収量は0.52t/10aと「日本晴」並であった。東北研では飼料用紫黒系統の選抜を進めた。除草剤抵抗性の有色米として、近農研で「阿波赤米」を母本とした「多収系1131」、九州研で「さよむらさき」を母本とした「飼355」を供試したが、耐倒伏性や収量性が不十分であった。 |
カテゴリ | 病害虫 いもち病 直播栽培 縞葉枯病 除草剤 飼料用米 飼料用作物 抵抗性 抵抗性遺伝子 低コスト栽培 品種 |