課題名 | 成熟期の異なる良食味のカンキツ品種の育成と省力生産技術の開発 |
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課題番号 | 2014025552 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
吉岡照高 深町浩 |
協力分担関係 |
香川県果樹研 愛媛県果樹研究センター |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | 食べやすく、機能性成分を含み、成熟期の異なる良食味のカンキツ品種の育成に関しては、 a) 「興津60号」及び「興津63号」について特性・地域適応性を解明するため、カンキツの主産県等で試作試験を行った。 b) 「興津67号」、「口之津51号」及び「口之津52号」について特性・地域適応性を解明するための試作試験を開始し、年内に成熟する早生の「口之津52号」については、減酸が良く食味が良いことに加えて見栄えも良好なことから、初年度にもかかわらず4か所の試作地において有望と評価された。 c) カンキツの交雑実生集団において、βクリプトキサンチン含量の平均値及び目標とするβクリプトキサンチン含量を超える子個体の出現割合は、両親のβクリプトキサンチン含量の平均値から精度良く予測できることを明らかにした。 d) βクリプトキサンチン含量が既存品種を超える系統を効率よく作出するには、平均親値が25μg/gfw以上になるように親を選択する必要があることを明らかにした。 e) 育種選抜用に密植・棚栽培したカンキツ実生における重要果実形質について、年次間変動は小さいものの、酸含量以外の形質は、環境要因の影響を受ける樹間及び果実間の変異が大きいため、優良個体を確実に選抜するには一次選抜時の選択圧を弱くする必要があることを明らかにした。 f) 42組み合わせの交配を行い、合計8,644粒の交雑種子を獲得した。また、2,140個体について果実特性を調査し、8個体を注目個体として選抜した。 省力・低コスト生産技術に関しては、 a) 加工専用候補品種「かんきつ中間母本農6号」では、栽培環境や樹体管理が異なっても、果実を果梗枝に対して横向きに引くと、引張強度が小さく、容易に引きもぎ収穫ができることを明らかにした。 b) 「かんきつ中間母本農6号」では、引きもぎ収穫を行うと、損傷果をほとんど発生させることなく、収穫に要する時間をハサミ使用時に比べて40~50%削減できることを明らかにした。 c) ウンシュウミカンでは、11月の春枝茎組織内におけるアミノ酸(アルギニン、アスパラギン、ギャバ)含量が多いほど、CiFT遺伝子(花芽形成関連遺伝子)の発現量が低下し、翌春の花数(発芽数当たり)が減少することを見出した。 d) 「せとか」の果肉軟化症は、果盤部のカロースが師管を閉塞することで光合成産物の果実への移行が妨げられることにより発生することを明らかにした。 e) 早生・中生ウンシュウミカンの浮皮発生を軽減するためのジベレリンとプロヒドロジャスモンの混合散布技術を開発するとともに、マニュアルを作成・公表した。また、浮皮発生が助長される条件(成熟期の気温が2℃程度高温)でも、本技術は浮皮発生を軽減できることを明らかにした。 f) ウンシュウミカンの浮皮は、これまで知られていた成熟期の高温だけでなく、開花期から生理落果期における高温でも発生が助長されることを明らかにした。 |
カテゴリ | 育種 温州みかん 加工 機能性成分 茶 低コスト 品種 良食味 その他のかんきつ |