課題名 | ⑤ 昆虫に関わる生物間相互作用の解明と利用技術の開発 |
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課題番号 | 2014025644 |
研究機関名 |
農業生物資源研究所 |
研究分担 |
霜田 政美 村路 雅彦 新川 徹 安居 拓恵 前田 太郎 辻井 直 田中 博光 宮本 和久 三橋 渡 渡部 賢司 和田 早苗 村上 理都子 陰山 大輔 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | 1. ツマグロヨコバイの共生リケッチアはヨコバイの細胞の細胞質だけでなく細胞核内、さらには成熟した精子の核内にも存在していた。共生リケッチア感染ヨコバイと非感染ヨコバイの交配実験の結果、感染雌から産まれた次世代の幼虫は通常の昆虫共生細菌と同様に100%共生リケッチアに感染していたが、非感染雌と感染雄の交配でも約60%の次世代幼虫が共生リケッチアに感染していた。この結果は、共生リケッチアが雄親からも次世代に伝わることを示しており、共生細菌が精子を介して伝播する現象を初めて見いだした。 2. 昆虫ポックスウイルスゲノムの完全解読に世界で初めて成功した。ゲノム解析により、ドウガネブイブイ昆虫ポックスウイルスから新規な構造を持つアポトーシス阻害タンパク質のオープンリーディングフレーム(ORF)を見いだすとともに、昆虫ポックスウイルスのDNA複製プロセスが初めて推測可能となった。また、ポックスウイルス科で初めてのユビキチン結合タンパク質と推定されるORF等のユニークなORFを発見した。 3. 連関解析により、コナガのCry1Ac毒素抵抗性に関わる遺伝子領域が特定の連関群上にあることを明らかにした。この連関群上にはカイコで明らかにした抵抗性の原因遺伝子であるABCトランスポーター遺伝子が座乗していることから、抵抗性系統では本遺伝子に欠失があることがわかった。さらにこの欠失遺伝子を発現させた培養細胞では、細胞の毒素反応性が失われたことから、本遺伝子がCry1Ac毒素抵抗性に関与していることが示唆された。 4. 殺虫剤での防除が難しい果樹害虫ゴマダラカミキリについて、行動制御による新規防除法を開発するために、寄主植物成分に対する応答と交尾戦略の解析を行った。寄主植物を異にする3個体群(温州ミカン、ブルーベリー、ヤナギ)において、メス抽出物を塗布したガラスモデルに対するオスの行動を観察したところ、温州ミカン個体群のメス抽出物に対して、ブルーベリーとヤナギ個体群のオスに高率で逃避行動が認められた。 5. 土着天敵ヒメハナカメムシ類は、農薬に依存しない新しい防除技術として普及が期待されているが、野外生態の解明が遅れている。そこで天敵・害虫67種の塩基配列をもとに昆虫群特異的プライマーを設計してmultiplex-PCRを行い、中腸に残存する未消化DNAを検出した。野外採集した個体の分析から、これまでまったく知られていなかった天敵生物を中心とした食物網の存在が判明した。また、LEDを用いた波長選択実験からヒメハナカメムシの一種ナミヒメカメムシが405nmの紫光に強く誘引される特殊な波長選好性をもつことが明らかになった。 6. 天敵寄生蜂の寄主制御機構を探るため、アオムシコマユバチの毒液タンパク質の解析を進めた。毒液分泌腺で発現しているmRNAを次世代シーケンサーで解析しアセンブルを行い、33,694個のコンティグを得た。電気泳動分離した毒液タンパク質のN末端のアミノ酸配列に対して相同性検索を行った結果、毒液主要タンパク質9個のうち7個について対応するコンティグ配列を同定した。さらにタンパク質データベースから相同性に関する情報を得た。 |
カテゴリ | 病害虫 温州みかん カイコ 害虫 カメムシ データベース 抵抗性 土着天敵 農薬 ブルーベリー 防除 |