(イ)沿岸域の漁場環境の保全及び修復技術の開発

課題名 (イ)沿岸域の漁場環境の保全及び修復技術の開発
課題番号 2015027940
研究機関名 水産総合研究センター
協力分担関係 北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター
港湾航空技術研究所 沿岸環境研究チーム
国立研究開発法人国立環境研究所
研究期間 2011-2015
年度 2015
摘要 ・藻場については、高水温の影響が小さい水域ではウニ除去による四季藻場の再生でイセエビが、高水温の影響が大きな 水域ではウニ除去による春藻場・小型海藻藻場の再生をきっかけにウニ生産力がそれぞれ回復可能なことを、磯焼け対策実践域での現地調査や室内外での実験により明らかにした。藻場を周辺環境と一体的に維持管理する要素技術として、高水温や採食圧に強い海藻種を利用した藻場再生法と、海藻を付加させることで機能を発揮する稚イセエビ礁を開発し、九州東岸域では多様な環境の一体的管理によって稚イセエビ密度を向上させる実証試験に成功した。これらの成功事例に基づいて漁業者向けの簡略な行動指針を提示した。さらに、無脊椎動物がアマモ場を維持するための役割を有することを解明した。
・干潟については、アサリの減耗実態を把握するとともに、広島湾のアサリとそれを餌とするクロダイ等魚類の量的関係に正の相関が見られ、干潟におけるアサリの持続的生産がクロダイをはじめとする魚類の成育場形成にとっても重要であることを指摘した。これらの成果から、稚貝の保護・育成と適地への移植という資源再生・回復のための行動指針を示し、モデル海域において実際に地元漁業者と連携して施策案を実行し、その効果を実証した。
・砂浜については、数値モデルによりチョウセンハマグリ加入の好不調を左右する産卵量分布を推定するとともに、汀線域の環境評価手法として小型甲殻類の帯状分布の成立要因を解明した。さらに、養浜技術による砂浜の安定化が稚貝の保護や、稚魚の餌となる小型甲殻類の汀線域での分布状況に重要な役割を果たすことを示した。これらの成果から、生物環境に配慮した養浜技術として、開発した広域海浜変形モデルの適用によるヘッドランドの改良方策を示した。
・沿岸・内湾域の漁場環境については、瀬戸内海や有明海等の沿岸域において現地調査及びデータ解析を実施し、貧酸素水塊、栄養塩等の水質環境およびベントス生産量等の漁場環境の実態を把握するとともに、ノリ養殖の生産力低下要因が栄養負荷量や降水量の減少であることを明らかにした。また、瀬戸内海において栄養塩等の水質環境の実態や貧栄養化の実態を把握し、現行の全窒素のみの水質管理では不十分であり栄養塩を考慮した水質管理施策が必要であること、ノリ養殖を基準にすると現在の海域の栄養塩濃度は低すぎること、栄養塩の供給方法として下水処理施設の栄養塩管理運転が有効であること等を提言した。
・開発した広域海浜変形モデルは静岡県福田漁港に我が国最初に整備された機械式サンドバイパス施設に適用され、砂供給による砂浜保全効果の定量的な検討に利用されている。また、低次生態系モデルについても、その計算結果が、地方行政(岡山県、兵庫県)における施策の説明資料として、また、藻場、干潟、砂浜の資源維持・回復技術や栄養塩管理技術が開発・提示されるなど、漁業者との連携、現場や行政への活用も進められている。本研究課題の成果は、沿岸域の漁場環境の保全及び修復技術の開発、並びに資源回復による地域水産業の振興等に繋がると期待される。
カテゴリ 管理技術 評価法 藻場再生

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