課題名 | (オ)赤潮プランクトン等有害生物の影響評価・発生予測・被害軽減技術の開発 |
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課題番号 | 2015027943 |
研究機関名 |
水産総合研究センター |
協力分担関係 |
広島大学生物圏科学研究科 山形大学研究部 (独)水産大学校生物科学 名古屋大学地球水循環研究センター |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2015 |
摘要 | ・有害赤潮の短期動態予測技術を開発するため、小型の自動観測ブイを開発して有明海に2 基設置し、性能試験を実施し た。観測データを提供・公表するシステムを改良し「沿岸海域水質・赤潮観測情報ポータルサイト」として6 月より運用開始した。これまでに開発したモデルとデータを用いて八代海におけるシャットネラ赤潮の典型的な大規模発生年と非発生年のシナリオを構築し、段階別に監視すべき項目及びモニタリング方針を提案した。 ・シャットネラ属の分裂指数や細胞周期関連遺伝子の定量に基づく増殖速度推定法の基盤を構築した。新奇貝毒プランクトンであるアレキサンドリウム・オステンフェルディの出現と環境要因との関係を調査した。調査結果は出荷自主規制措置に繋がり、本種による出荷規制の国内初例として農水省の「二枚貝等の貝毒のリスク管理に関するガイドライン(平成27 年制定)」に反映された。 ・東北海域での貝毒発生予察技術開発のため、凍結した堆積物試料からシストを定量検出する手法を開発するとともに、遺伝子増幅法(LAMP 法)をカレニア・デジタータに適用を拡大し、検出法のひとつであるNASBA 法の抽出工程の最適化等の改良を行った。 ・コクロディニウム・ポリクリコイデスの強毒株を作出し、ブリ幼魚を用いた暴露試験を行い、濃度依存的なへい死が再現可能であることを確認した。カレニア・ミキモトイ強毒株をサザエに曝露した結果、濃度依存的なへい死が確認され、鰓組織の崩壊が確認された。八代海と有明海で発生したカレニア赤潮及びシャットネラ赤潮に対してキャビテーション処理を施し、ブリの救命試験を実施した結果、後者において延命効果が認められた。さらに、シャットネラの負の走光性阻害を応用して赤潮逃避フィルターを試作し、沈降効果を確認した。 ・東シナ海・黄海及び対馬海峡において、調査船による分布調査と国際フェリーによる目視調査を実施し、大型クラゲの出現状況を把握した。隠岐~能登周辺海域において大型クラゲ分布調査を実施し、出現状況を日水研ホームページにおいて公表した。様々な大型クラゲの出現情報に基づいて大型クラゲの移動予測を実施し、その結果を水産庁等関係機関に提供した。大型クラゲの平衡胞分析を韓国と共同で実施し、エフィラ発生日を推定して大型クラゲの主発生海域を検討した。大型クラゲの出現等に関する情報交換を日中韓で行うとともに出現予測技術の高度化を図り、それを活用した定期的な出現状況のとりまとめと公表を4 回行った。トドについては、分布調査及び胃内容物等生物学的試料採取を行うとともに、強化刺し網大規模実証化調査の結果を取りまとめた。 ・沿岸海域水質・赤潮観測情報ポータルサイトは、漁業者に最新の情報を提供し、宇和海等での赤潮発生に際し被害軽減計画の策定に貢献した。新規貝毒プランクトンの調査結果は、農水省「二枚貝等の貝毒のリスク管理に関するガイドライン(平成27 年制定)」に 反映された。有害プランクトン同定研修会を13 府県の試験研究職員13 名を受講者として実施し、LAMP 法等の手法を普及した。トド の分布・生態等の研究成果は有害生物被害軽減・アザラシ保護管理に関する行政会議等で活用され、水産行政に貢献した。本研究課題の成果は、赤潮プランクトン等有害生物の被害軽減技術の開発、並びに漁場環境修復を通した資源回復等に繋がると期待される。 |
カテゴリ | くり 出荷調整 モニタリング 予察技術 |