課題名 | (ア)水産物の安全と消費者の信頼を確保する技術の開発 |
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課題番号 | 2015027949 |
研究機関名 |
水産総合研究センター |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2015 |
摘要 | ・メチル水銀の毒性発現に対する有機セレンによる解毒作用を解析する実験手法を開発し、魚類由来セレン化合物である セレノネインによってメチル水銀が解毒される分子機構を推定した。さまざまな魚肉のセレン及びメチル水銀含量を測定した結果、マサバやマアジがセレン摂取に有用な食品であることを推定した。 ・日本型食生活のメニューの中心である魚食による生活習慣病予防効果を解析するため、ヒトの血液における魚食由来成分の蓄積を分析する手法を開発した。セレノネインのメラニン合成阻害作用と血圧降下作用、色落ち海苔から抽出したグリセロールガラクトシドの抗メタボリックシンドローム活性等の機能性評価及び食品素材化を進めた。 ・外国産のシジミ類及びワカメの判別技術を開発した。ノリ及びシジミ類のDNA 分析法、アサリ及びシジミ類の殻の微量元素分析法が(独)農林水産消費安全技術センター(FAMIC)による原産地判別技術分析法として、マニュアル化され、市販品調査に採用された。 ・本課題で開発した貝毒標準物質の製造技術や機器分析法は、平成27 年3 月のホタテガイに引き続き、平成27 年4 月のその他の二枚貝類の貝毒検査公定法の改正に寄与した。機器分析により二枚貝や有毒藻類の毒化状況をモニタリングし、有毒藻類の監視技術の高度化を達成し、有毒藻類から二枚貝までの毒化状況モニタリングによる二枚貝毒化監視体制を確立した。 ・新たに下痢性貝毒新規オカダ酸類縁体を発見し、核磁気共鳴法や質量分析法により化学構造を決定し、毒性評価を実施した。 ・食中毒関連微生物である低温性ヒスタミン生成乳酸菌は、増殖はできないが生存した状態で多量のヒスタミンを生成することを明らかにし、ヒスタミン制御のための生菌制御を確立した。 ・近赤外分光法によるマグロ肉の色調評価法や冷凍魚肉すり身の脂肪及び水分量の迅速成分評価法を開発した。アミノ酸と塩化ナトリウムの呈味評価法を開発した。 ・低未利用魚であるヨシキリザメについて、凍結貯蔵温度と鮮度指標であるK 値及びアンモニア含量との関係を調べた結果、-20℃以 下で貯蔵することによりアンモニアの増加が抑制され、原料魚の品質を維持できることを明らかにした。 ・セレノネインの機能及び製造技術については特許申請するとともに、民間企業と製品化に向けた共同研究を開始した。開発した下痢性貝毒機器分析法が、平成27 年度に公定法へ導入されたほか、我が国で初めての下痢性貝毒認証標準物質を開発したことは、下痢性 貝毒による被害防止に大いに貢献した。本研究課題の成果は、新たな水産物のリスク評価法や健康性機能評価、貝毒監視、水産食品製造工程における衛生管理への活用が期待される。 |
カテゴリ | 機能性 評価法 モニタリング |