課題名 | 水稲の病害抵抗性の持続的利用技術の開発 |
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課題番号 | 2015027825 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
協力分担関係 |
岩手生工研 愛知県農総試 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2015 |
摘要 | 抵抗性候補遺伝子の構造解析及び抵抗性遺伝子等の発現パターンの解析に関しては、 a) セロトニン合成が阻害された変異イネでは、いもち病菌の侵入は正常イネと同程度であったが、光環境下での病斑拡大によって生 育がより強く抑制されたことから、セロトニン蓄積が関与する褐変反応は、感染に伴う生物ストレスからイネ体を保護する上で重要な役割を持つことを明らかにした。 b) 量的抵抗性保有品種(抵抗性遺伝子pi21、Pi34、Pi35)での葉いもちの病斑長、病斑数、病斑面積率は、水田圃場及び畑晩播試験 ともに接種試験の結果と同様の傾向を示し、葉いもちに対する抵抗性の効果は、接種試験からでも推定可能であることを示唆した。一方、量的抵抗性遺伝子の集積効果については、水田圃場では明瞭に評価できない程高かった。 c) 量的抵抗性保有品種の水田圃場における発病程度は、葉いもちでPi34>pi21>Pi35、穂いもちでpi21>Pi34>Pi35となり、平成26 年と同様の傾向であった。また、穂いもちの評価に関しては、葉いもちの接種試験の結果と一致しない遺伝子のあることを確認した。 d) 量的抵抗性保有品種(抵抗性遺伝子pi21、Pi34、Pi35、Pi39)においては、窒素追肥によって葉いもちの病斑数が増加傾向を示す こと、病斑の感染型が感受性型に変化することが確認された。また、圃場栽培の量的抵抗性品種でも、窒素追肥により穂いもち被害籾率が上昇する傾向を示した。 新規穂いもち抵抗性交配後代の育成及び穂いもち抵抗性関与QTLの解析に関しては、「宮崎もち」に由来する穂いもち抵抗性QTL座qPbm11領域を保有するコシヒカリ準同質遺伝子系統を用いた解析により、qPbm11座乗領域を約1Mbまで限定した。また、穂いもち抵抗性強 のコシヒカリ準同質遺伝子系統を選抜し、穂いもち抵抗性研究用配布系統とした。 いもち病圃場抵抗性の異なるイネ品種間におけるいもち病菌の個体群変動の比較に関しては、 a) コシヒカリ及び量的抵抗性保有品種(抵抗性遺伝子pi21、Pi34、Pi35)を自家採種で連年栽培し、SSR遺伝子型を用いてイネ上のいもち病菌集団の変動を解析した結果、種子から葉いもち初発にかけて、いずれの品種においても遺伝的浮動によると考えられる菌個体群の遺伝子型構成の変化が検出された。 b) 量的抵抗性遺伝子侵害菌の蔓延までの待ち時間を推定できるシミュレーションモデル(プロトタイプ)を作成した。このモデルの シミュレートにより、侵害菌の蔓延までの時間は、pi21とPi35では真性抵抗性品種の罹病化と同程度に早く、Pi34では長いことが示された。 c) シタロン脱水酵素阻害剤(MBI-D剤)耐性いもち病菌の遺伝子診断マーカーとして、SNPマーカー(MD-SNP)及びdCAPSマーカー(MD-d22)の2種類を開発した。また、「伸長反応1秒PCR」を応用し、MBI-D耐性菌とQoI剤耐性菌を1回のPCRで同時に検定できるmultiplexマーカー(MQ-P)を開発した。 |
カテゴリ | 病害虫 いもち病 害虫 雑草 自家採種 水田 水稲 耐性菌 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性品種 農薬 病害抵抗性 品種 防除 |