生物情報に基づく帰化雑草の侵入・まん延警戒システムと長期的雑草管理法の構築

課題名 生物情報に基づく帰化雑草の侵入・まん延警戒システムと長期的雑草管理法の構築
課題番号 2015027826
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
協力分担関係 京都大学
(公財)植調協会
山形県農業研究センター
筑波大
研究期間 2011-2015
年度 2015
摘要 雑草動態モデルの汎用化と長期的管理システムに関しては、
a) 斑点米カメムシ類の餌資源として重要なネズミムギの個体群動態モデルを空間レベルに拡張して、圃場周辺と圃場の間の種子の移 出入を考慮したモデルを作成した。このモデルを用いるとネズミムギ個体群の圃場周辺から圃場内への拡散を予測することができ、各種管理体系下での当該草種の空間分布を含む長期的な個体群動態の検討を可能とした。
b) 雑草個体群のうち、これまで有効な防除手段のなかった種子世代の防除に活用できる、圃場表面に過熱水蒸気を噴射しながら走行 し、地表面の雑草種子を駆除する効率的な自走式蒸気処理防除機を開発した。
帰化雑草の侵入・まん延警戒システムに関しては、
a) 「未侵入」、「侵入初期」、「まん延」の3つの段階に対応した外来雑草の対策優先順位を決定する「外来雑草早期警戒システム」を構築し、評価手法でランキングを行い、各段階に応じた対策実施の優先順位を決定するシステムとしてウェブサイトで公開し、実用レベルでの運用を開始した。
b) 温暖化によってダイズ落葉期以降に発生・生育が増大し、まん延が懸念されるニシキアオイの生育特性について、生育は高温で促 進されること、開花は日長(短日)に強く制御されるが、種子の完熟には一定の積算温度が必要であることを明らかにした。
c) ニシキアオイがダイズ圃場に侵入すると、慣行の最終防除以降に出芽する個体がダイズ収穫期までに種子を生産し、草高はコンバ インの刈高よりも高くなることが示唆されたことから、まん延リスクと汚損粒発生リスクが高いと判断した。
雑草生物情報データベースに関しては、
a) 運用開始を伝えるプレスリリース(平成27年4月)及びパンフレット(2,290部)の作成・配布を実施し、累計アクセス件数や延べ 訪問者数をもとに、データベースの有用性や広報活動の効果を確認した。
b) 耕地雑草の診断支援の基礎資料として、公開中の雑草生物情報63科約560草種に加えて、15科30種の幼植物画像を新たに撮影した。これらは、今後データベースに追加する。
c) 除草剤抵抗性雑草に関して、オモダカに対する代替除草剤の効果はALS変異の差異に関わらずピラゾレート、ピラクロニル、テフリルトリオンの効果が高いこと、多除草剤抵抗性を示すヒメタイヌビエに対しては、陸稲用ではペンディメタリンの効果が高いことを確認した。また、ミズアオイ科雑草のALS遺伝子の解析を進め、複数の遺伝子を単離するとともに、全塩基配列を決定した。
このほか、
a) 東日本大震災の津波被災地(宮城県名取市)の早期再生のための課題に取り組み、4年間にわたる復旧水田の雑草埋土種子と植生データを取りまとめ、被災地の復旧整備・除塩作業に伴う雑草生育期の土壌撹乱と、作付け再開時の適切な防除作業が雑草リスクの軽減に寄与していることを明らかにした。
カテゴリ 病害虫 害虫 管理システム 雑草 除草剤 水田 大豆 データベース 抵抗性 農薬 斑点米カメムシ 防除

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