課題名 | IT等の利用による精密・低コスト大規模農業のための基盤技術開発及び体系化 |
---|---|
課題番号 | 2015027834 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
協力分担関係 |
北海道大学 (株)IHI (株)オーレンス 芽室農協 十勝農協連 JA鹿追町 ズコーシャ JA士幌町 笹川北斗農場 (株)IHIスター |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2015 |
摘要 | トラクタと作業機間の標準となる共通通信制御技術の開発に関しては、 a) 平成26年度に開発した後付電子制御ユニット(ECU)を施肥機に搭載し、JA鹿追町管内の生産法人圃場で実規模(8ha)の可変施肥 作業を実施し、設定した可変施肥作業が適切に行われたことを確認した。 b) JA芽室町管内の現地農家が所有する共通通信技術対応トラクタにGPS受信機を取り付け、トラクタバスや作業機バスに流れているCANデータとともに記録するシステムを構築し、取得したトラクタ・作業機操作情報を解析して作業日誌作成に活用可能な各種データを 抽出できた。 c) JA鹿追町・JA士幌町管内の実証生産者の各種作業を対象に、ISOBUSトラクタや作業機械が送出するトラクタ操作情報や作業情報を 収集し、生産者が作業の効率性を把握・解析できるよう、可視化した。 作業機から得られる情報(生育情報、作業情報等)と生産履歴等の蓄積情報の統合処理に関しては、 a) 商用利用が開始しているapras(アプラス)について、システムの核となるアプリケーションプログラミングインタフェース(API )の変更を伴わない方法による改良により、これまで北海道に限られていた利用範囲が拡大し、本州での運用が実現した。 b) APIでのシステム連携を図るためCLOP(CLoud Open Platform)でビッグデータを解析するアプリを開発した。 c) b)で開発したアプリは、ビッグデータを用いた予測やリコメンデーションを行うために、機械学習(人工知能技術の一種)の機能 をCLOPに組み込むことで、資材価格、収量、最適施肥量などを過去の時系列データから予測(推定)することを可能とした。また予測結果はTwitter等のクラウドサービスで簡単に閲覧や共有ができることを確認した。 d) 空撮画像からの3次元再構成プログラムを改良し、改良前のものと同様の圃場の3次元情報を得ることができ、計算速度を大幅に改 善した。 e) 1つのJA管内の移植テンサイの生産履歴と収量データをもとに、技術効率性を基準とする生産者の集団分けを行ない、集団ごとに播種日、移植日、農薬散布日、収穫日を時系列の度数分布として表示し、それぞれの栽培管理の特徴把握を可能として生産履歴情報の営農指導への活用方法を示した。 f) 土壌電気伝導度測定器による土壌センシングにより、圃場内の礫層など土層構成のバラツキのマップ化を可能とした。 最適な栽培管理と効率的な作業を支援する生産管理システムの開発に関しては、 a) JA鹿追町内の生産者圃場で後付ECUを備えた既存機(ブロードキャスタ)の可変散布作業をコムギの追肥に適用し、可変施肥の作業量ログから可変施肥マップが取得できることを確認した。 b) JA鹿追町管内の生産者コンバインに収量モニターを設置し、RTK-GNSS受信機の位置情報とあわせて、刈り取りヘッダの上げ下げの 状態、コムギの水分・収量をそれぞれ取得した。 c) a)で作成した可変施肥マップを収穫情報に基づく収量マップと照合することで、可変施肥の効果を確認できる目処を得た。 d) JA鹿追町実証経営のデータをもとに経営計画モデルを作成し、可変施肥や自動操舵の経営に及ぼす効果を明らかにした。 e) 可変施肥を畑輪作の各品目で適用することにより、投資に見合った収量向上や施肥量削減効果が期待でき、所得拡大が図られるこ とを明らかにした。 f) 自動操舵の導入により、非オペレータでも機械作業が可能であれば、オペレータ1名の経営において労働制約が緩和され、作付拡大と大幅な所得拡大をもたらすことを明らかにした。 g) 過年度に開発した国産ガイダンスシステム(普及台数1,200台)を発展させた仕様の自動操舵補助装置について、ハンドルの操舵特性の異なる2機種のセミクローラトラクタで性能を調査し、14km/h程度まで利用可能であること、機種によっては、高速(10km/h)に なると、中速(6km/h)に比べて横方向の誤差(横偏差)が増大する傾向にあることを明らかにした。 |
カテゴリ | 病害虫 管理システム 経営管理 栽培技術 GPS 収量向上 施肥 センシング 通信制御 低コスト てんさい 農薬 播種 輪作 ロボット |