課題名 |
長鎖不飽和脂肪酸代謝遺伝子を指標とした高付加価値鶏肉生産の検証 |
研究機関名 |
秋田県畜産試験場
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研究分担 |
比内地鶏研究部
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研究期間 |
完、(H27) |
年度 |
2015 |
摘要 |
研究の目的、 鶏肉の食味に影響するアラキドン酸の生合成経路において、長鎖不飽和脂肪酸の代謝に関わる3つの遺伝子の遺伝子発現領域にそれぞれ一塩基多型(SNP)の存在を確認した。、 これらのSNP情報を用いて鶏肉中の長鎖不飽和脂肪酸含量を高めることが可能となれば、長鎖不飽和脂肪酸代謝遺伝子の遺伝子型を指標とした食味性の育種選抜への道が開ける。、 また、長鎖不飽和脂肪酸代謝遺伝子はアラキドン酸だけでなく脳や神経組織の機能を高める働きがあるドコサヘキサエン酸の合成にも関与していることから、食味性ののみらず、機能性の高い鶏肉生産が可能となり、効率的な付加価値の高い肉用鶏生産への応用が期待される。、 そこで、本研究では、長鎖不飽和脂肪酸合成が高いと想定される遺伝子型に固定した鶏と、低い遺伝子型に固定した鶏における鶏肉中の長鎖不飽和脂肪酸含量を比較し、その効果を検証する。、試験内容、 (1)長鎖不飽和脂肪酸代謝遺伝子固定群の作出、 長鎖不飽和脂肪酸代謝遺伝子の3つの遺伝子(デルタ6デサチュラーゼ、エロンガーゼ5、デルタ5デサチュラーゼ)の各SNP型と鶏肉中のアラキドン酸含量の関連性から、同日孵化したロードアイランドレッド種を用いて長鎖不飽和脂肪酸合成が高いと想定される遺伝子型に固定した群(T/T、G/G、G/G)と低い遺伝子型に固定した群(A/A、A/A、A/A)を作出する。、 (2) 長鎖不飽和脂肪酸高含有鶏肉生産の検証、 長鎖不飽和脂肪酸合成が高いと想定される遺伝子型に固定した群(T/T、G/G、G/G)と低い遺伝子型に固定した群(A/A、A/A、A/A)を同一環境で160日齢まで飼育後、肉中の長鎖不飽和脂肪酸を測定する。、成果のまとめ、 (1) 長鎖不飽和脂肪酸合成が高いと想定される遺伝子型(T/T、G/G、G/G)に固定した個体を30羽(雄16羽雌14羽)、長鎖不飽和脂肪酸合成が低いと想定される遺伝子 型(A/A、A/A、A/A)に固定した個体を15羽(雄5羽雌10羽)作出することができた。、 (2) 長鎖不飽和脂肪酸合成が高いと想定される遺伝子型に固定した個体の鶏肉は低いと想定される遺伝子型に固定した個体の鶏肉よりモモ肉中のアラキドン酸およびドコサヘキサエン酸割合が高く、アラキドン酸含量が多い傾向を示した。、 これらの結果から、長鎖不飽和脂肪酸代謝遺伝子のハプロタイプを優良タイプに固定することによって、鶏肉中のアラキドン酸やドコサヘキサエン酸の含有率が高まることが示唆された。
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カテゴリ |
育種
機能性
高付加価値
鶏
もも
良食味
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