| 課題名 | (1)海洋・生態系モニタリングとそれらの高度化及び水産生物の収集保存管理のための研究開発 |
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| 課題番号 | 2019030640 |
| 研究機関名 |
水産総合研究センター |
| 協力分担関係 |
(国研)海洋研究開発機構 北海道大学 東京大学 甲南大学 鹿児島大学 琉球大学 沖縄科学技術大学院大学 |
| 研究期間 | 2016-2020 |
| 年度 | 2019 |
| 摘要 | ・海洋・生態系に関する定線モニタリングとして、各海域に設定した観測定線(北海道オホーツク海:N, S-line、親潮-混合域:A-line、黒潮域:O-line、日本海:SI-line、東シナ海:CK-line)における調査船調査を継続した。 ・A-lineでは、15年間のモニタリングの結果から、水温は7月及び10月に上昇傾向であり、高水温期に多いピコ植物プランクトン(細胞径0.2~2?の植物プランクトン)が1月に増加傾向にあることを確認した。 ・O-lineでは、黒潮大蛇行時に発生する特徴的な海洋現象(暖水波及、内側冷水渦)の発生メカニズム解明に向けた観測、解析を行い、暖水波及は黒潮が蛇行することによって生じる遠心力によって黒潮の上層水が内側へ輸送されることで発生していること等を示した。 ・放射能モニタリングでは、東日本太平洋沿岸以外で福島第一原発由来の放射性セシウムCs-134は魚介類から不検出であり、他の基準値を超える放射性物質も不検出となった。 ・東北沿岸域で採集されたマコガレイなど魚類に含まれる放射性セシウム濃度について、福島原発事故のあった2011年を境にした年級群ごとに調べたところ、いずれの年級群でも濃度は着実に低下傾向にあることが分かった。 ・観測コストの削減による定線観測補強のために令和元年度に製品化した簡易型XCTD(水温・塩分の鉛直分布測定用センサー)について観測精度を把握し、実用性を確認した。 ・簡易な海洋観測を行うため、小型PCを用いた沿岸浅海域における低コストで実用可能な表層水温計測システム及びワカメやノリ漁場等における食害魚の出現状況の把握に利用可能な市販のカメラと小型PCを組み合わせた水中ビデオ撮影装置を開発した。 ・水産庁「平成31年度(令和元年度)スマート水産業推進事業のうち資源・漁獲情報ネットワーク構築委託事業」と連携しつつ、原生動物、動植物プランクトン等の出現種情報を網羅的に収集するためのメタゲノム分析用の海水試料採集を、各海域のモニタリング定線(北海道オホーツク海:N, S-line、A-line、O-line、CK-line、SI-line)において開始し、分析のための試料を蓄積した。 ・準リアルタイムでの魚群情報取得を可能にするため、既存の計量魚群探知機(魚類等の資源量を把握することが可能な魚群探知機)に外部接続PCを設置し、2種類の周波数の差分からオキアミ群を自動抽出することができることを確認した。さらに、オキアミ類を自動抽出した解析結果を、船舶メールに添付して自動送信が可能となるシステムを構築した。 ・水中グライダーで取得したデータを、衛星通信を介して機構内のサーバーに収集し、新海況予測システムFRA-ROMSの計算を補正するためのモデルに利用できる体制を構築し、モデルの再現精度の向上に寄与した。水中グライダー運用に係る情報を集約し、制御するためのネットワークシステムの構築を開始し、運用体制の強化を進めた。 ・海況が悪い季節においても高頻度観測が可能な水中グライダーの優位性を活用した海洋観測により、日本海の前線及び冷・暖水域の水温・塩分の時空間特性を把握し、対馬暖流及び日本海の水温前線である極前線の流量を見積もることに成功した。また、水中グライダーの機動的な運用体制構築のため、富山湾周辺海域をモデルに実地試験を実施し、漁船でも運用可能であることを実証した。 ・計算を補正するための各種変数の調整、地形の修正などにより改良したFRA-ROMSの現況再現値を解析し、対象とする日本周辺海域に発生する中規模渦の再現精度が向上したことを確認した。 ・海洋環境データ解析支援システムについて、黒潮流軸位置データを準リアルタイムに提供する機能を付加するシステム改良を行った。 ・海洋及び内水面における調査データ収集体制の強化を図るため、異なる研究課題における沿岸調査等のデータ収集経路及び保管体制について継続的な把握に努めた。 ・標本の収集・評価・管理の継続実施に向けた取組として、動物プランクトン標本については、A-line調査等で新たに採集した標本、都道府県の水産関係試験研究機関、気象庁等からの移管標本の合計3万本分を整理、データベース登録し、機構内の関係者と共有した。卵稚仔標本については、1996年以降の採集標本175ケース分を収集、整理し、電子リスト化した。淡水魚標本では、液浸標本を魚種別に再配列するとともに、登録済の冷凍標本の採集データを採集者から聞き取り、復元した。耳石等標本では、所蔵及び管理方法に関するデータ提供条件案を作成し、この条件案に基づき機構研究者からサンマ耳石等標本のリストとデータ見本が提出された。 ・平成23年に機構職員が作成した手書きの東シナ海産魚類図鑑の保存及び普及拡大を目的とした東シナ海産魚類電子図鑑の作成では、482種分の原図をスキャンし14種分の電子化を行った。 ・遺伝資源の管理・活用を目的としたジーンバンク事業においては、配布可能な保存株が5株増え、合計103株とした。また、外部機関からの依頼に基づき遺伝資源の配布を実施した。 ・遺伝資源管理手法の高度化を目的に、微細藻類の1種であるテトラセルミスの凍結保存法を改良し、6ヶ月間の凍結保存が可能であることを実証した。 ・生体による遺伝子保存を目的とした生殖細胞の移植技術として、ブリを用いて魚体の総排泄腔からの移植と外科手術による移植の2手法を試み、総排泄腔からの移植法ではおよそ3割の個体で注入に成功し、1か月後で90%が生存した。また、外科的移植法では8割の個体で移植に成功し、1か月後にはすべての個体が生存し、傷口がわからない程度まで回復することを確認した。また、飼育コスト削減を目的としたブリ親魚の小型化では、制限給餌により体重で約35%の小型化に成功した。 〔アウトカム〕 ・各海域での定線モニタリングで得られた海洋環境情報は、漁海況情報の提供、物理モデルや人工衛星データの検証、さらに気候変動や生態系変動等への影響評価などに必要な基礎的情報として、水産庁水産資源調査・評価推進委託事業、資源量推定等高精度化推進事業、スマート水産業推進事業のうち資源・漁獲情報ネットワーク構築委託事業等の事業・研究に提供されているほか、共同研究契約により(一社)漁業情報サービスセンター、宇宙航空研究開発機構、気象庁や大学などにも提供された。 ・黒潮大蛇行が発生している現状において漁業者の関心が高いO-lineの観測結果を、水産試験場の要請により、定期的に公表した。 ・昭和37年に開始した放射能モニタリングにより、我が国周辺水産物における水準値を把握してきたことは、福島第一原発事故影響の範囲を評価する際などに活用されたほか、消費者等の水産物のゼロベクレルを求める運動に対して、事故以前より放射性セシウムが存在していたことを示すデータとして活用されている。 ・開発した簡易型XCTDは水産試験場に普及し、各県が実施している海洋環境の定線観測が補強された。 ・改良により制度が向上したFRA-ROMSからの出力情報は、海況予報を通して広く水産関係者に提供されたほか、水産庁補助事業をはじめとする各種研究事業並びにマスコミ対応や各海域の現場ニーズへの対応などにも利用されている。 ・遺伝資源配布先機関から、ジーンバンク資材を活用した研究成果が公表された。 |
| カテゴリ | 遺伝資源 環境データ コスト データベース 低コスト モニタリング 輸送 |