課題名 | 遺伝子組換え技術やゲノム編集技術の高度化とそれらを活用した新規有用作物・昆虫素材作出技術の開発 |
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研究機関名 |
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能部門 植物・微生物機能利用研究領域 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能部門 遺伝子利用基盤研究領域 |
協力分担関係 |
民間(8)(のべ数) 地方公共団体(1) 国立感染研究所 (国研)理化学研究所 (国研)産業技術総合研究所 (国研)国際熱帯農業研究センター 大学(22)(うち国外3) |
研究期間 | 2016-2020 |
年度 | 2020 |
摘要 | 除草剤抵抗性遺伝子 HIS1 のトリケトン系除草剤抵抗性に必要なアミノ酸残基を明らかにし、ゲノム編集による遺伝子破壊イネ系統が同除草剤に感受性となることを示した。新規閉花性遺伝子の変異体で植物ホルモン等に関連する発現変動遺伝子を検出した。複合病害抵抗性遺伝子については、BSR1 高発現イネの病害抵抗性増強に病原菌由来のキチン等を介した抵抗性誘導反応が関わっていることを明らかにした。さらに複合病害抵抗性遺伝子 BSR2 の高発現がトマトでも 4 種の重要病害に対して抵抗性を示すことを明らかにし、プレスリリースを行った。複合病害抵抗性素材、ゲノム編集バレイショの有効性については、新型コロナウイルス感染拡大防止の影響で野外栽培による調査を中止した。 ゲノム編集の自由度を向上させる精密ゲノム編集技術については、認識配列に G を含まない改変型 BlCas9 に関して、変異導入効率を大幅に向上させる技術(proxy-CRISPR 法)を確立し、イネで標的変異導入や塩基置換を導入できることを確認した。ゲノム編集酵素について、小型化、認識配列の多様化を行うとともに、これまで対応できなかった塩基置換を導入する技術の構築に成功した。また、標的組換えにより必要な変異のみを導入する精密ゲノム編集技術をイネで構築し、新規の除草剤耐性イネや閉花性イネの作出に成功した。iPB 法を含む新たな 3 種類のデリバリー技術については、iPB-RNP 法の適用作物の拡大を図り、オオムギでグルテンを形成させることを目的に種子タンパク質遺伝子内部の特定部分を切り出すゲノム編集に成功した。ウイルスベクター法で外来 DNA を植物細胞に導入しないゲノム編集法を確立した。また、細菌を利用したゲノム編集酵素のデリバリー技術においては、変異個体再生に向けて、実験系の改良を進めた。 ミツバチにおけるゲノム編集技術による新たな育種素材開発については、ゲノム編集ミツバチの作出と集団飼育のため、ゲノム編集ミツバチの女王化と未受精卵の産卵誘導、及び人工授精の条件を確定した。カイコにおけるゲノム編集技術による新たな制虫化合物の有効性評価系の開発については、ノックアウトカイコを用いた毒素受容体解析により、Cry9 毒素の受容体を初めて特定し、市販化されている BT 剤と異なる作用機序をもつ新規 Bt 株の性能評価に利用できるスクリーニング系を構築した。また、昆虫制御に利用可能な候補共生微生物を安定的に増殖できる培養細胞を用いた薬剤スクリーニング系の有効性を確認した。さらに、昆虫制御にボルバキアを利用する際に留意すべき、異種間浸透の実態を明らかにした。昆虫機能制御に利用できる標的候補遺伝子の機能解明については、チャバネアオカメムシの液性免疫関連遺伝子、生殖細胞形成に必要な nanos 遺伝子や捕食性天敵(タバコカスミカメ)の味覚受容体(GR)が有望な標的候補であることを示した。 |
カテゴリ | 育種 カイコ カメムシ 市販化 除草剤 タバコカスミカメ 抵抗性 抵抗性遺伝子 トマト ばれいしょ 病害抵抗性 ミツバチ 薬剤 |