課題名 | 遺伝子組換え作物・カイコを用いた有用物質生産の実用化技術の開発 |
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研究機関名 |
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能部門 新産業開拓研究領域 |
協力分担関係 |
民間(41)(のべ数 ) 地方公共団体(2) 国立医薬品食品衛生研究所 (国研)理化学研究所 (国研)産業技術総合研究所 (独)川棚医療センター 大学(22)(のべ数) |
研究期間 | 2016-2020 |
年度 | 2020 |
摘要 | スギ花粉米及びノボキニン蓄積米の遺伝子組換え生物等第一種使用による隔離ほ場栽培に より、厚生労働省食品安全委員会への申請データ取得(主に成分分析)のための材料を確保した。ノボキニン蓄積米については、令和元年度に取得したデータを元に、食品安全性評価書を作成し、農林水産省技術会議事務局及び機構本部の関係部署と情報交換しながら、民間企業主導(農研機構は手続きを支援)で厚生労働省への申請交渉を始めた。スギ花粉米に関しては、「スギ花粉米公募事業」の最終報告会を書面審査で開催するとともに、社会実装に関心を有するステークホルダー(民間企業 2 社含む)に対するオンライン情報交換会を 2 回開催して現状を共有し、食品安全性審査の申請書作成のための資金提供を呼び掛けた。この他、組換えタンパク質の発現量向上を目指して内在性タンパク質グルテリンの発現量を抑えたグルテリン超低減イネの社会実装に向け、カルタヘナ法における遺伝子組換え生物等に該当しないことを示すデータを収集し、実用化系統候補を得た。イネの胚乳品質管理技術開発のため、未授精時の胚乳発生を制御している因子を明らかにした。 遺伝子組換えカイコについては、大学との連携を通じて、バイオセンサーカイコ等の開発及び企業への技術紹介を進めた。また委託プロジェクト、資金提供型共同研究などにより、民間企業や大学、県等との連携を強め、医薬品・検査薬・化粧品の原料生産に関しては、新たに 29種以上の遺伝子組換えカイコを作出するとともに、計 60 種以上の医薬品・検査薬・化粧品の原料の試験生産を進めた。群馬県以外でのカイコ飼育に関しては、鹿児島県奄美大島、新潟県上越市及び熊本県山鹿市における産業二種使用大臣確認を取得し、鹿児島県と熊本県で遺伝子組換えカイコの飼育を開始した。さらに沖縄県うるま市、茨城県かすみがうら市でも遺伝子組換えカイコの飼育及び有用物質生産体制を整備し、5 か所では組換えカイコを用いたタンパク質生産を開始した。 このほか、タンパク質の生産量・機能性向上技術の開発を行い、コラーゲンは 3.9 倍、抗イヌ CD20 抗体は 4.5 倍の生産性向上を達成した。生産した抗体(リツキシマブ)に、CHO 培養細胞では付加されないヒト型に近い α2,6 シアル酸が付加される糖鎖改変組換えカイコを開発した。また、組換えカイコで生産した終末糖化産物 AGEs 受容タンパク質を用いた生活習慣病検査キットの受注販売開始に目処をつけた。さらなる効率的なタンパク質生産系構築のため、絹糸昆虫の絹糸腺の遺伝子ネットワークモデルを構築するとともに、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)におけるバンク作製に必要な技術である、実用的な遺伝子組換えカイコクローン作製方法を開発して特許を出願した。大量飼育装置を用いた飼育を省力化するための底面給餌法や上蔟法を改善し、飼育マニュアルを策定した。 |
カテゴリ | カイコ 管理技術 機能性 省力化 |