課題名 | 中山間地における水稲スマート有機栽培 |
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研究機関名 |
福島県農業総合センター |
研究分担 |
有機農業推進室 |
研究期間 | 完R2~R3 |
年度 | 2021 |
摘要 | 広野町に実証ほ場を設置し、中山間地域の条件不利地及び震災・原発事故に起因する避難指示を解除した後の営農再開地域で水稲有機栽培産地の再生に向け、スマート農業機器を活用した各種作業の省力化や生産性・品質の高位平準化のため、以下の項目について実証した。冬期間の土壌乾燥技術として畦立て耕起(二山耕起)を実施し、その抑草効果を検証した結果、移植後2週間までは雑草発生は抑制されたが、その後の生育期間中は草種によって抑草効果が異なり、コナギでは十分な効果が認められなかった。直進アシスト田植機と高精度水田用除草機の組み合わせによる抑草効果及び労力負荷軽減効果を検証した。直進アシスト田植機は移植作業の労働負荷低減に有効で、熟練者、非熟練者ともに直進移植精度が向上した【参考成果43】。 水田の水管理作業省力化のため、通信機能を持つ自動水管理システムの実用性を検証した。システムは水位センサーと給水ゲートから構成され、専用のアプリを使用して、スマートフォンから水位、水温及び給水ゲート開閉状況の確認が可能であった。また、水位センサーと給水ゲートを連動させることにより、水田の水位を一定に保つことが可能であった【参考成果1】。深水管理による抑草効果は、ノビエ、ホタルイ、広葉雑草類で確認されたが、コナギ対しては十分な効果がなかった。 ドローン撮影画像から、(株)スカイマティクス葉色解析サービス「いろは」の解析機能を活用し、雑草発生エリアマップ作成と水稲葉色診断を行った。葉色診断は肥培管理計画に活用し、ほ場間の生育ムラの解消に効果があった。また、雑草発生エリアマップは、機械除草作業における除草作業掻き取り深度 の判断目安等に活用可能であった。収量コンバインの作業データの採録を行い、収集データの精度を検証したが、コンバインの故障により検証できなかった。自走リモコン草刈機導入による畦畔管理労力低減効果と、斑点米カメムシ類被害抑制効果について検証した。その結果、自走リモコン草刈機は傾斜約30~40度の法面で安定して草刈りが可能であり、作業能率は3.9~7.7a/h 、既往の刈払機の約1.1~1.6倍となった。また、出穂前の畦畔除草の効果により、斑点米カメムシの発生は抑えられた【参考成果4】。 スマート農業機器導入体系について、ほ場管理システム「アグリノート」を利用したデータ収集と経営評価を行った。導入機器のうち、水田除草機、自動水管理システム、リモコン草刈機は、作業時間の削減効果があり、導入区の作業時間は、水稲有機栽培全国平均の2割(6.5h/10a)まで削減した。また、労働費の削減により、中山間地域の水稲有機栽培においても、スマート農業技術を導入することで収益性の向上につながる可能性が示唆された【参考成果5】。 |
カテゴリ | 有機栽培 あま 乾燥 管理システム 経営管理 畦畔管理 畦畔除草 雑草 省力化 除草 除草機 水田 水稲 中山間地域 ドローン 斑点米カメムシ 肥培管理 水管理 |