課題名 | 気候変動に対応した麦類の安定多収栽培技術の確立 |
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研究機関名 |
佐賀県農業試験研究センター |
研究分担 |
作物部
環境農業部 |
研究期間 | 新R3~R7 |
年度 | 2021 |
摘要 | 目的: H21年からR1年までの麦類の作況指数は64~147と変動し、9/10年で平年を下回っており、実需者との契約数量を達成できない年が多。多雨により収量低下が頻発、生産者・実需者双方から、高品質・安定多収、気象変動に対応した施肥管理が必要。信頼確保のため、気象変動に対応した高品質・安定多収栽培管理技術を確立。 試験対象の小麦品種‘シロガネコムギ’では基肥、追肥Ⅰおよび追肥Ⅱの計3回施肥を行っているが近年の気象の変化による膨大な降雨や干ばつなどが頻発し、肥料の溶脱や冬季の高温により肥料が早期に溶出してしまうなど、植物体の窒素吸収量の減少による生育不良が懸念されている。本試験では施肥後の降雨量が土壌の窒素動態に及ぼす影響について明らかにする。 成果: 1.倒伏回避・穂数確保栽植様式と施肥技術の確立 小麦の収量増加には穂数の確保が有効な手段、穂数が増加の為、倒伏も大。穂数を確保し、倒伏させない技術、「シロガネコムギ」を用いて播種様式(4条播きまたは8条播き)と施肥を組み合わせ行ったところ、倒伏程度は、4条播きに比べて8条播きで軽減され、また施肥の倒伏への影響は、基肥>追肥Ⅰ>追肥Ⅱの順であった。穂数が増加することによって稈の挫折抵抗値が低下し倒伏が大きくなった。多収区は、葉色が濃く推移し、45以下になることがなかった。 2.麦類の理想的な葉色推移の解明 ,3.葉色をコントロールする施肥技術の確立 追肥Ⅰの施用時期を変えても、小麦の葉色に大きな違いはみられず収量にも差はみられなかった。しかし、施用時期を遅くすることで、収量はやや増加し、また子実タンパク質含有率が高まる傾向にあり、一方で成熟期がやや遅くなったり倒伏程度が増加した。また、過去の農試作況データから、多収年は葉色が濃い傾向がみられ、特に2月10日時点のSPAD値が標準播き(11月20日)で44以上、遅播き(12月10日)で45以上であった。 3.小麦品種‘シロガネコムギ’における最適な施肥回数の検討 追肥Ⅰを施用し、異なる潅水量における土壌中のECおよび無機態窒素の測定を行ったところ、無潅水よりも窒素量の低下が見られたが、アンモニア態窒素として十分残存していた。また、この時期は低温期のため、硝化されないアンモニア態窒素は存在するもののECの値は低く、一見肥料不足と判断されてしまうと思われた。 |
カテゴリ | 肥料 小麦 栽培技術 施肥 多収栽培技術 播種 品種 |