課題名 | 新規資材の適応試験及び既存資材の施用改善試験 |
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研究機関名 |
佐賀県農業試験研究センター |
研究分担 |
環境農業部 |
研究期間 | 継H11~ |
年度 | 2021 |
摘要 | 目的: 小麦については穂揃期追肥による子実タンパクの向上技術が確立されている。しかし、生産現場ではこの技術の活用が進んでいない。そこで、2月中下旬までに緩効性肥料を含有する肥料で追肥を行い、穂揃期追肥を省略する試みを検討する。農家の高齢化にともない夏季高温下での穂肥の施用が行われなくなってきている。このためさがびよりの収量維持と品質改善を行うため全量基肥肥料の有効性が稲麦体系で実証された。しかし、まだ、大豆麦体系跡における施肥量は不明であるため大豆麦跡の全量基肥について検討する。合成樹脂等の膜でコーティングされた被覆肥料は、農産物生産現場では広く使用されているが、肥料溶出後の被膜が河川等への流出が懸念されており、流出防止の取り組みや分解性の高い被覆資材の製品化が求められている。そこで、微生物分解により窒素成分が溶出する新たな被覆肥料「オキサミド(OX)」が開発されたため、水稲の全量元肥用緩効性窒素肥料としての実用化に向けて検討する。 成果: 1)緩効性肥料を用いた小麦の穂肥技術の確立 緩効性肥料の設置の2月22日から3月15日までは降雨量は平年よりやや少なかったが、肥料の設置の深さが1cm程度と浅いので降雨による流水の影響で溶出が多かったと考えられ、目標の4月上旬の4月上旬の穂揃期での溶出とはならなかった。 2)さがびより全量基肥肥料のダイズ跡地における施肥基準の確立 肥料の溶出は積算地温での規格値に比べやや早かった。このため、窒素2割減肥の4.8kgで出穂後29日の葉色は分施区に比べ濃くなった。しかし、出穂後35日の葉色は許容域以下の値となり、精玄米重、玄米千粒重、子実タンパクは分施区と同等になった。 3)新規緩効性肥料の有効性の確認 供試肥料(オキサミド)は施肥から70日程度で約80%溶出した。また50日目以降無機化量は直線的に増加した。土壌の無機化量は、大豆連作跡のため無機化量が少なく、生育期間中の無機化量も少なく推移した。生育はオキサミドに硫安を混合することで生育期間中の窒素濃度、窒素吸収量が高く推移し、肥効率が100%を超え、大豆跡地であることと穂肥を施用したことによるものと考えられた。また茎数が増加し精籾重が多かったものの、精玄米重はOXのみ施用した区とほぼ同程度、蛋白は無窒素以外7%以上となり品質が劣った。 |
カテゴリ | 肥料 小麦 施肥 大豆 |