摘要 |
育種目的は耐雪性の付与を基本にして耐倒伏性・耐湿性に優れる積雪地向き多収品種を育成することである。昭和37年在来系統からの選抜育種を始め、交配後の母系選抜育種に移行し、高系1号から高系23号までを育成した。その中から早生品種「ワセアオバ」、短期利用型品種「ミユキアオバ」、短期利用型品種「ナガハヒカリ」、極短期利用型品種「ウヅキアオバ」の4品種が育成された。これらの4品種は現在農家で利用されている。 最近の系統では系統適応性検定試験3年目である耐雪・耐湿性系統の「高系22号」がある。この系統は乾物収量が1番草並びに全期間の合計収量で標準品種の「ヒタチヒカリ」より高い傾向にあった。湿田区(北陸農試)は標準試験区より指数がさらに高く、耐湿性に優れていることを示している。しかし、飼料成分のデータがなく、耐雪性が不十分であったため、ナガハヒカリの普及を優先することで、本系統は廃棄することにした。耐雪・耐倒伏性早生系統の「高系23号」は系統適応性試験1年目の段階で、乾物収量は1番草では4場所で標準品種の「ワセアオバ」に比べ高い傾向であった。しかし、2番草の収量は標準品種を下回った。冠さび病抵抗性は「弱」であった。今後系統適応性試験をさらに2年間行う必要があるので、その対応は農業技術研究機構畜産・草地研究センターにおいて実施する。
|