摘要 |
機能性糖類であるフラクトオリゴ糖の素材作物として有望視されているヤーコンは、新導入作物であるため、我が国での栽培法が確立されていない。そこで、機能性糖類の生産性向上が図れる我が国に適した栽培技術を開発しようとした。研究期間中、栽培地、栽植密度、施肥量、マルチ資材、品種間差等が生産性に及ぼす影響、ならびに、塊根貯蔵法の検討を行った。その結果、栽培方法による機能性糖類の含有量の変異は少ないため塊根収量性の向上が糖収量の向上につながること、夏期が高温で乾燥する地帯での栽培は不向きで、寒高冷地での栽培が適すること、栽植密度はa当たり250株程度が最も収量性が優れること、施肥量は3要素とも成分量でa当たり1.5kg程度が適当であること、定植時期は可能な限り早くし、降霜で枯れ始める頃に収穫すると増収につながること、地温抑制効果のある白色マルチ等の資材利用は塊根の肥大促進に有効であること、品種により地域適応性に違いが見られること、塊根はポリ袋に入れて冷蔵庫で保存すると長期にわたり利用可能なこと等が明らかになった。これらの結果はパンフレット「ヤーコンの作り方」にまとめ、広く普及に供した。今後はヤーコンの利用法や、ポリフェノール等のフラクトオリゴ糖以外成分の健康機能性について、検討が必要と考えられる。
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