| 課題名 | サル・クマ等の行動・生態と被害実態の解明 |
|---|---|
| 課題番号 | 2001001070 |
| 研究機関名 |
独立行政法人森林総合研究所 |
| 研究分担 |
森林総合研究所 関西支所 生物多様性研究グループ 森林総合研究所 東北支所 生物多様性研究グループ |
| 協力分担関係 |
京都大学霊長類研究所 宮城教育大学 東京農工大学 |
| 研究期間 | 新規2001~2005 |
| 年度 | 2001 |
| 摘要 | 1.当年度の研究目的 調査地を設定し、行動、アンケート、聞き取り調査、駆除個体試料の収集に取り組む。 2.当年度の試験研究方法と成果 1)発信器装着によるサル個体及び群れの追跡 滋賀県のサル6群に発信器を装着してサルの個体追跡を行った。追跡により行動域面積は4.7km2~38km2、その中で天然林の占める割合は53~87%であった。また、1996年度から2000年度の間には被害面積は漸減したがこれは電気柵の総延長の増加と関係し、駆除数との関係は明瞭ではなかった。 また、宮城県の被害地では、群れの行動域は17.5 km2で、群れは国道、鉄道、田畑を移動・採食に用い、落葉樹林・渓谷を採食・休息の場所としていた。農産物以外に、冬には集落周辺のクワ樹皮、秋にはクリの実がよく利用されており、群れが集落に誘引される重要な要因となっていることが明らかになった。サルの群れによる被害の発生原因、また被害程度と生息地環境の関係を検討するためのデータが蓄積されつつある。 2)サル忌避物質の探索 放飼場で飼育されているサルの群れを対象に、新しく考案された電気柵(高さ1.7m、支柱からの張り出し0.3m)の効果試験を行った。試験開始後は11個体が侵入したが、その後、侵入を試みる個体はほとんどなかった。この電気柵については特許申請中であり、現場での活用が期待される。サルに農産物など特定の食物を忌避させるための嫌悪条件付けの薬品として桂皮酸アミドを用い、サルに投与して効果と血中濃度の変化を観察した。効果には個体差がみられ、効果が見られた場合にも最適な投与量があることが判明した。血中濃度は1-4時間でピークになり、12-36時間でほぼ0になった。今後、この薬剤を対象のサルにどのような方法で投与するか検討が必要である。 3)イノシシの防除対策 2000年度に島根県でイノシシ被害が発生した水田は844箇所あった。この内799箇所は面積1haであった。被害率は水田面積の増加に伴い減少した。また、水田面積と耕作放棄率の間、水田面積と標高の間には負の相関あり、高標高で小規模水田ほど放棄されやすいと考えられた。被害対策がうまくいった集落は必ずしも地理的、地形的に恵まれた場所ではなく、自治会などの活動が活発で農家同士の結束の固いところ、あるいは多額の補助金が得られたところであった。イノシシ被害防除のために耕作放棄地の管理が必要であること、効果ある防除活動を行うためには地域の振興策も必要であることが明らかになった。 島根県で捕獲された1200頭のイノシシ試料に基づき、腎脂肪指数(栄養状態を反映)と食物の相関を検討したところ、胃内容物のスダジイの出現頻度との間に負の相関があった。さらに、腎脂肪指数が低い年には駆除達成率も低いことが判明した。スダジイなど森林生息地における食物の豊凶予測により被害予測をすることが可能であることが示唆された。 4)クマの保護管理のためのデータ収集 クマは広島県の駆除個体(13体)のオス・メス比は7:6、オスの平均年齢は9歳(4~13歳)、メスの平均年齢は6.8歳(2~17歳)、京都府のもの(10体)はオス・メス比6:2、平均年齢はオス2.1歳(0~5歳)、メスは2歳と9歳であった。その他、鳥取県で2体、岩手県で67個体の頭部を収集し骨標本化した。このような資料の蓄積とその分析により、各地域の地形や土地利用の様子など生息地条件とクマ出没の関係、クマへの捕獲圧のかかりかたが明らかになる。さらに、京都府のクマは由良川を境に東西で明瞭な形態変異があることが明らかになり、由良川を境界にして管理ユニットを分ける必要性が示唆された。この情報は京都府のクマのレッドデータブック、保護管理計画策定で活かされている。 |
| カテゴリ | 病害虫 くり 水田 防除 薬剤 |