課題名 | セルロースの高次構造形成と生分解機構の解明及び高度利用技術の開発 |
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課題番号 | 2001001139 |
研究機関名 |
独立行政法人森林総合研究所 |
研究分担 |
森林総合研究所 成分利用研究領域 セルロース利用研究室 森林総合研究所 きのこ・微生物研究領域 微生物工学研究室 森林総合研究所 木材特性研究領域 組織材質研究室 |
協力分担関係 |
東京大学 静岡大学 テキサス大学 農業生物資源研究所 |
研究期間 | 新規2001~2005 |
年度 | 2001 |
摘要 | 1.当年度の研究目的 セルロースの高次構造形成と生分解機構を解明しセルロースの高度利用技術を開発するため、1)セルロース系天然高分子の新しい高次構造形成系を見いだす。2)Nematic Ordered Cellulose (NOC) の力学特性を明らかにする。3)NOCの3次元異方性の高次構造解析を行う。4)天然セルロースの酵素加水分解残渣の高次構造解析を行う。5)パーベーパレーション膜の選択透過性を評価する。 2.当年度の試験研究方法 1)Acetobactor Xylinum のセルロールリボン生産と運動挙動をタイムラプス光学顕微鏡による観察を行った。さらにストレス刺激に対するシラカバプロトプラスト細胞の応答を倒立顕微鏡にタイムラプスを装備させて観察した。 2)水膨潤セルロースからNOCを調製し、動的弾性率と剛性率を測定した。 3)2倍延伸水膨潤セルロース(NOC)の水酸基のOD化反応をFTIR スペクトルで追跡し、反応速度論的に解析した。 4)ホヤセルロースの微結晶をセルラーゼで分解した残渣をFTIRで測定し、水酸基の特性吸収領域のピーク分離を行った。 5)キトサン膜のパーベーパレーションによるアンモニアと水の選択透過性を評価した。 3.当年度の研究成果 1)NOC の高分解能透過電子顕微鏡によるセルロース分子鎖像撮影に成功し、幅0.47nm の分子鎖が良好に配向し、二本の平行な分子鎖間距離が0.66 nmであることを三次元的解析により明らかにした。炭酸ガス/Ca2+/プロトブラスト系中の植物細胞が細胞外にカロースの巨大繊維を生産・噴出する現象を見いだした。 2)NOC のヤング率/剛性率比が100を越えたことは分子鎖間の相互作用が弱いことの反映であり、NOC の構造解析結果と一致した。 3)NOC の重水素化赤外法解析によりグルコース環はNOCフィルム表面方向に対して垂直に、厚さ方向に対して平行に向いていることを明らかにした。 4)酵素処理セルロースのFTIR法解析により分子鎖間結合の減少のみならず、分子内水素結合のうちとくにC3-C5結合の減少を確認した。 5)キトサン膜によるアンモニア透過阻止はキトサンの脱アセチル化度に依存することを見いだした。 |
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