摘要 |
病害及びダニ被害の情報収集・動向調査、対峙培養及び病害再現試験、落下菌調査、サンプルのRAPD解析及びトリコデルマの種同定用プライマーの開発、ツクリタケクロバネキノコバエの信号物質の抽出及び精製に取り組み、ガスクロ行動生物検定法及び触覚電位検出法によりその活性ピークを特定し、活性ピークの化学構造の推定に取り組んだ。シイタケの黒腐れ病のホダ木から3種のトリコデルマ属菌を分離した。ナメコとトリコデルマの対峙培養試験から、小型菌床を用いて耐病性の検定ができることを明らかにした。設計したプライマーがトリコデルマ・ハルチアナムの検出に有望であると示唆する結果を得た。約5千頭の雌成虫の抽出物から性フェロモン活性成分をクロマトグラフィーなどで分離精製した。性フェロモン画分には少なくとも3種以上の配偶行動に関わる化合物の存在することを明らかにした。分離したトリコデルマ属菌によってシイタケの黒腐れ病が再現、ナメコのトリコデルマ耐病性の検定、害菌同定用のプライマーの開発による害菌の進入経路の解明などが可能となった。ツクリタケクロバネキノコバエの性フェロモン成分の化学構造の解析は計画通りに進捗している。これらの成果は、山村でのきのこ栽培における病虫害の抑制技術の向上に直接結びつくものである。
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