増養殖対象種の繁殖機構の解明と制御技術の開発

課題名 増養殖対象種の繁殖機構の解明と制御技術の開発
課題番号 2002003255
研究機関名 水産総合研究センター
研究分担 水産総合研究センター 養殖研究所    繁殖部 繁殖生理研究室
水産総合研究センター 養殖研究所    繁殖部 初期発育研究室
水産総合研究センター 養殖研究所    繁殖部 繁殖技術研究室
水産総合研究センター 北海道区水産研究所 海区水産業研究部 資源培養研究室
水産総合研究センター 養殖研究所    栄養代謝部 栄養研究室
水産総合研究センター 西海区水産研究所 石垣支所 資源増殖研究室
水産総合研究センター 養殖研究所    栄養代謝部 代謝研究室
研究期間 継続2001~2005
年度 2002
摘要 (1)魚介類の成熟・発生機構の解明:マダイの卵巣への分化にはエストロゲンが重要な役割をはたし、精巣への分化はエストロゲンの生成抑制により誘起された。GTHサブユニットを別々に組み込んだウイルスをカイコに同時に感染させた結果,AlphaならびにBetaの両分子が共に合成され,2量体(GTH-IおよびGTH-II)としてカイコの体液中に分泌されていることが明らかとなった。また,マダイの精巣片を用いた解析によって組み換え体GTHが天然のGTH同様の生理活性を持つことが明らかとなった。マダイでは,性ステロイドホルモンがGnRHやGnRH受容体の遺伝子発現に及ぼす効果は未熟な幼魚では顕著であるが、成魚ではその効果が不明瞭であった。さらにマダイでは長日に対する反応はなく、水温が産卵期の終了ならびにGnRH受容体発現に重要な因子である可能性が示唆された。ウニの未成熟卵巣・精巣に大量に蓄積された主要卵黄蛋白質は,卵形成・精子形成の進行にともなって急速に分解し,卵形成・精子形成にともなう新規物質合成の材料として分解・利用され,雌では一部が分解されずに卵へ移行して初期発生の際に分解・利用された。クルマエビでは,140mm前後の個体の人工催熟では7、8カ月令は産卵に至らず、12カ月令で産卵に至った。成熟しない個体では、斃死率が高かった。また,両眼柄切除や眼柄を挟む処理よりも片眼柄切除が良かった。さらに,水温は一定よりも徐々に上昇させた方が成熟は進んだ。屋内水槽においても、人工催熟処理をせずに産卵させることが確認できた。(2)配偶子の保存利用技術の開発:アユ精子の凍結保存のための種々の条件を検討した結果、精液の希釈や凍結条件を解明し保存技術を初めて確立した。(3)ウナギの種苗生産に関する基礎的研究:ウナギ卵の発生に高い水圧は顕著な影響を及ぼさなかった。仔魚の飼育水温は20度C以上,給餌中の照度は250-500 luxで良好な飼育結果が得られた。上記の飼育条件や開発した仔魚用飼料でウナギ仔魚の長期飼育を試み,日齢150日で平均30mmを越える天然に劣らないレプトケファルスに育てることに成功した。ウナギの卵母細胞は卵成熟誘起ステロイド(DHP)により卵成熟・排卵が誘導され、このDHPによる卵成熟・排卵は卵径が大きいものほど早く誘起された。また、排卵は20度Cよりも25度Cの方が早く誘導された。細胞当たりの核DNA量を測定したところ,親魚はすべて2倍体であったが,ふ化仔魚には半数体から5倍体までの倍数性変異が認められた。雌親魚ごとの仔魚の倍数性変異率は0-64%と大きく変動し,平均は10%であった。変異個体のうち,78%は3倍体であった。倍数性変異が卵質変動要因のひとつとなっている可能性が考えられた。ウナギでは、卵黄蛋白のベータ成分が独立して存在しない可能性が示唆された。また,排卵後の卵内の遊離アミノ酸はグルタミンを最も多く含んでいた。一方、最終成熟前の卵母細胞では量的に少なく、遊離アミノ酸は最終成熟期に増加することが示唆された。
カテゴリ カイコ 繁殖性改善

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