課題名 |
小笠原森林生態系の修復技術の開発 |
課題番号 |
2003004308 |
研究機関名 |
森林総合研究所
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研究分担 |
森林総合研究所
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研究期間 |
継続2001~2005 |
年度 |
2003 |
摘要 |
小笠原森林生態系の修復技術の開発当年度の試験研究方法:1)アカギ侵入林の分布図と植生図を用いて、アカギ生育地と各植生タイプとの対応関係を解析した。2)マイクロサテライトマーカーによるオガサワラグワ集団の遺伝子型推定を進める。3)植栽したオガサワラグワ166個体の1年後の調査、シマホルトノキの植栽2年後の調査を行った。4)個体識別をほどこしたメグロの調査から得たパラメータ(各年齢における生存率、平均繁殖成功度)を算出して、シミュレーションモデルを作成し、100年後の絶滅確率を算出した。5) 塩水トラップによって、天敵のニューギニアヤリガタウズムシを防ぐ天敵排除型飼育装置を試作し、チチジマカタマイマイ成貝を4頭入れ飼育実験を開始し、経過を観察した。6)在来ハナバチが激減している母島において、固有植物ノヤシ(植栽)の送粉者を知るため、そこで採集した訪花昆虫の花粉付着調査と、花の袋かけ試験を行った。当年度の研究成果:1)アカギ侵入林の分布面積は、シマホルトノキ型高木林とその二次林に当るムニンヒメツバキ型高木林、また、母島固有の湿性型矮低木林で割合が高く、アカギの適地と考えられた。一方、乾性低木林では、割合が低かった。2)オガサワラグワでは、父島や母島の集団に比較して、弟島集団は遺伝的多様性がやや低い傾向が示唆された。また、母島の中で昭和2年の植栽と言われる石門下ノ段の集団が桑木山の集団に遺伝的に近いことが示唆された。3)シマホルトノキ植栽地では2年が経過したが、順調であった。オガサワラグワは植栽後1年の生残率はギャップ区及び林内区でシマホルトノキよりも悪かった.これはギャップ区では乾燥、林内区では光不足が原因であると考えられる。4)メグロでは、今回作成したモデルの結果から、母島個体群が100年後に絶滅する可能性は、0.5%以下と少なかったが、向島個体群は5.2%、妹島個体群は5.4%とやや高かった。しかし、新たな帰化生物等により、個体群をとりまく状況は母島でも今後変化していくと考えられる。5)天敵排除飼育装置内に放たれた4頭のチチジマカタマイマイのうち、1頭は行方不明になったが、2頭の幼貝が見つかり、繁殖も可能なことが示された。しかし、残念なことに11月23日には、ウズムシが侵入したらしく、すべて捕食されてしまった。6)ノヤシの訪花昆虫は大部分セイヨウミツバチであり、ハエ目の数種がこれに混じった。ミツバチは多くの花粉を有していたが、ハエ類にはごく少なかった。ミツバチが入れず、小型のハエ類は通れる袋をかけた花では、袋無しの花より結実状態が悪く、ミツバチが主要な送粉者と推察された。
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カテゴリ |
乾燥
桑
繁殖性改善
ミツバチ
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