森林火災による自然環境への影響とその回復の評価に関する研究

課題名 森林火災による自然環境への影響とその回復の評価に関する研究
課題番号 2003004364
研究機関名 森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所
研究期間 継続2001~2005
年度 2003
摘要 森林火災による自然環境への影響とその回復の評価に関する研究当年度の試験研究方法:林床に優占するタケが開花・枯死し、現在森林の更新及びタケの再生がモザイク状に進んでいる、カンチャナブリ県メクロン集水域試験地内の森林動態長期モニタリングサイトにおいて、林床のタケを除去したギャップサイトと閉鎖林冠下の二つの実験区で、乾燥と地表火が主要構成種の実生の生残・成長にどのように影響するか、実験的に評価した。タイで受信されているNOAAデータとNOAAからの夜間の光のデータ(DMSP)を高速ネットワークによって入手し、準リアルタイムの自動処理で、火災発見を継続して、その動向を確認した。また、NOAAデータの植生指数と熱データを高次処理して火災危険度評価に実用的に利用できる手法を開発した。インドネシア東カリマンタン州ブキット・バンキライの森林火災影響調査区(3区)と林外において計測した温湿度、降水量、風向、風速等の微気象データを解析した。同調査区の腐生菌類のインベントリーを作成するとともに、分離培養菌株の特性を評価した。当年度の研究成果:落葉混交林(MDF)を構成する樹木6種の実生の成長速度と生残率は、いずれも閉鎖林冠下に比べ、タケの存在しないギャップ内で高かった。しかし、斜面下部に分布し、ほぼ常緑のDipterocarpus alatus とD. turbinatusは、閉鎖林冠下でも比較的高い生残率を維持し、乾期における給水は有意に生残率を高めた。また、両者の実生は、地表火の後すべて死亡した。対照的に、落葉性の4種は、地表下の後でも多くが萌芽によって再生した。ギャップ内では閉鎖林冠下に比べ、実生の乾期の生残率と地表火を受けた後の生残率が高かった。ギャップ内の実生は閉鎖林冠下よりも地下部へのアロケーションが大きく、火事後の萌芽能力を支えていると考えられた。光環境、乾燥、山火事の3つの環境因子の相互作用に対する構成樹種間の適応分化が確認された。NOAAとDMSPによる森林火災発見システムを運用し、情報を1年間蓄積した。これによって短期間のエルニーニョの影響と考えられる火災の頻発状況がインドネシアで捉えられた。また、タイからの衛星データが定時に送られない時に、その旨をホットスポットデータ情報のメッセージに含めるように改良し、タイの衛星データ受信局からのデータ転送の確実性が向上した。火災危険度評価システムでは、高次処理したNDVIと熱バンドデータを使う方法に改良し、インドネシア森林火災予防計画で実用化させた。森林火災重度被害林では日最高気温は無被害林に比べ4~5℃上昇し、日最低気温は林外よりも1℃以上低くなった。重度被害林の地下5cmの地中温度は、平均温度が若干低くなり、日最高温度と日最低温度の開きが1℃から2~3℃に広がる傾向があった。降水量は最大で月間300mm以上が記録されたが、7~9月は月間55mm以下であった。風速では、2002年7月~12月に瞬間最大風速が10m/sを超える突風が3回記録された。調査区の腐生菌類は合計で、担子菌類124種、子のう菌類20種が確認された。採集された菌類の同定を進め、種名リストを作成した。環境に依存する種としては、湿った林内のShorea属上にのみ発生する種、炭化した材上に発生する種、高温耐性を有する種、乾燥耐性を有する種などが確認された。これらの腐生菌類はインドネシア低地林の環境を評価する指標種として使用できる。 
カテゴリ 乾燥 管理技術 高温耐性 モニタリング

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