担子菌による土壌汚染物質の分解条件の解明と評価

課題名 担子菌による土壌汚染物質の分解条件の解明と評価
課題番号 2003004449
研究機関名 森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所
研究期間 新規2003~0
年度 2003
摘要 担子菌による土壌汚染物質の分解条件の解明と評価当年度の試験研究方法:1)液体培地にウスヒラタケを接種し、1週間後に培養液中に混合ダイオキシンを添加し、その2週間後にダイオキシン分析を行った。ウスヒラタケをダイオキシン存在下で培養し、ダイオキシン存在下でのみ発現している遺伝子をcDNA-RDA法により濃縮した。得られたsubtracted cloneの塩基配列、推定アミノ酸配列をデーターベースにより比較、解析した。2)液体培地にウスヒラタケを接種し、一定期間培養後、乾燥菌糸体重量を測定するとともに、菌糸体からDNAを抽出し、定量PCR法によりDNA量を測定した。滅菌土壌にウスヒラタケ菌床を接種し、一定期間培養後、土壌からDNAを抽出し、ウスヒラタケのDNA量を定量PCR法により定量することにより菌糸体量を推定した。3)未ざらしクラフトパルプを添加した液体培地でP. crassa WD1694の培養及び未ざらしクラフトパルプと同菌株から分離精製したマンガンペルオキシダーゼ酵素を反応させた後、テトラメチルベンチジン(TMBZ)染色による顕微鏡観察で菌体外酸化反応と酵素反応との比較検討を行った。当年度の研究成果:1)液体培地でのウスヒラタケのダイオキシン分解率はTEQ換算で約20%であった。これまでの試験では、少なくとも1ヶ月間培養すればダイオキシンを分解することを確認していたが、今回は2週間でも分解することを確認した。なお、コントロールのダイオキシン回収率は87%であった。ダイオキシン存在下でのみ発現しているウスヒラタケの遺伝子をデータベースで検討した結果、ストレス誘導タンパク質、転写因子類、傷害誘導タンパク質、硫黄代謝関連因子、P450等をコードする遺伝子と類似性をもつ遺伝子が確認された。これらよりダイオキシンは担子菌にストレスとして認識されているとみられ、ダイオキシンは数段の代謝経路を経て分解されて行くことが示唆された。2)一定量ずつ採取した菌糸体からのDNA量を測定した結果、菌糸体重量(実測値)とDNA量の間には正の相関関係があった。一定期間培養後の菌糸体重量(実測値)とDNA量から推定した菌糸体重量はほぼ一致した。これらより、菌糸体中のDNA量から菌糸体重量を推定できることが明らかになった。培養後の滅菌土壌からDNAを抽出し、菌糸体重量を推定した結果、2週間までは増殖し、3週目に減少が観察された。3)精製したペルオキシダーゼ酵素による活性染色では酵素溶液が均一に呈色したのに対し、生菌処理後の活性染色で培養ろ液は呈色せず、呈色は菌体の先端や表面に限られていた。白色腐朽菌のリグニン分解ペルオキシダーゼ類は菌体外に分泌されるが、本結果より生菌でのペルオキシダーゼによる酸化反応は菌体の表面上で進むことが示唆された。このことは、土壌汚染物質を菌体外ペルオキシダーゼによって分解させるには、基質と菌体が接触する必要があると推測される。
カテゴリ 乾燥 データベース

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