課題名 |
b 木質バイオマスの変換・利用技術及び地域利用システムの開発 |
課題番号 |
2006008653 |
研究機関名 |
森林総合研究所
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研究分担 |
森林総合研究所 企画部
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研究期間 |
新規2006-2010 |
年度 |
2006 |
摘要 |
・ これまでにラボスケールで蓄積されたデータを基にベンチプラントを設計・製造し、スギ木粉の亜臨界水処理を行った。ベンチプラントでの糖収率は約40%であり、ラボスケール時とほぼ同様の糖収率が維持できた。スケールアップによる支障はほとんど認められず、ベンチプラントにおいても亜臨界水処理による木材からの糖化が十分可能であることが示された。年間10万kL生産規模でのエタノール製造コストの現在の試算値は172円/Lであり、実用化に向けて更なるエネルギー・コストの低減が必要であることを示した。・ シリンガアルデヒドをシリンガ酸に変換する新規アルデヒド酸化酵素遺伝子を含んだDNA断片を含む組替えバイオリアクターを構築し、シリンガアルデヒドから機能性プラスチック原料(PDC)への変換率を95%まで向上できた。茶殻を爆砕処理した後、処理物全体を上記で構築したバイオリアクターで反応させることにより、PDCが生成することを明らかにした。PDC、PDCジオール(BHPDC)と乳酸(LA)の三次元共重合ポリエステルを30%含むポリ乳酸とのブレンド物は、ポリ乳酸単独と比べて生分解性に優れていた。・ 切削および破砕チップ、バーク廃材を用いて種々の容器による密度測定を行った結果、チップについては小容器による測定が、バーク廃材については、トラック等の実際の運搬規模に近い測定が望ましいことを示した。林地残材については10tおよび4tトラック、フォワーダを用いて密度測定を行なった結果、容積の小さいフォワーダでは荷のはみ出しのため測定が困難であったが、4tトラック程度の荷台容積が適当であることを示した。以上の結果をふまえて、林地残材バイオマスの測定時の基準を提案し、マニュアルとしてまとめた。・ 既存の集材機械であるタワーヤーダおよびフォワーダを用いたバイオマス搬出作業を行った。工程分析の結果、バイオマスの搬出功程は、タワーヤーダが0.657t/hr、フォワーダが0.595t/hrであり、素材の搬出功程に比べ2割程度の低い生産性であった。搬出コストは、前者で15,041円/t、後者で10,511円/tであった。搬出コスト低減にはバイオマスに適した収集・積載方法を開発する必要が有ることを示した。・ 木材利用(建築、家具、紙)による炭素貯蔵効果を、IPCCの3手法(ストックチェンジ法、プロダクション法、大気フロー法)によりシミュレーションできる評価モデルを開発した。モデルには、建築部門において他工法建築物を木造代替した場合の「省エネ効果」、及び建築・家具の木造・木製率を上げた場合および紙部門から発生する残廃材をエネルギー利用した際の「化石燃料代替効果」のプログラムを組み込んだ。製品ストック一定の条件下でも、建築・家具の木造・木製率を70%に上げた場合、2020年の木材利用による二酸化炭素削減量は1,200万炭素トンに成ることが分かった。産業連関分析により、木質資源を使用する製品加工時の二酸化炭素排出は900万t-Cで紙・土木・建築部門で93%を占めていることを明らかにした。これらは、木材一次製品以外の資源・製品の加工による排出も含むため、木質分への適切な配分が必要である。木質バイオマス発電プラント等に関し、ガス化方式・直接燃焼方式について発電規模と残廃材使用量および発電効率の関係を解析し、小規模施設ではガス化方式で発電効率が高く、また発電規模と残廃材使用量は方式によらずほぼ直線的な関係にあることを明確にした。
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カテゴリ |
温暖化対策
加工
機能性
コスト
省エネ・低コスト化
ストック
茶
低コスト
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