c.野生鳥獣の行動等の解明による鳥獣害回避技術の開発

課題名 c.野生鳥獣の行動等の解明による鳥獣害回避技術の開発
課題番号 200709612
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 農業・食品産業技術総合研究機構,近農研,鳥獣害研究チーム
農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,鳥獣害研究チーム
協力分担関係 麻布大学
千葉県
研究期間 2006-2010
年度 2007
摘要 1)自立的対策実施農家育成のための営農管理技術の開発について、慣行栽培かき「西条」の栽培では、鳥獣害から守りやすいテーブル型低面ネット栽培への移行の可能性が示唆された。地表に合板を置いた上で1週間おきに板下のトンネル再生状況を調査する方法は、各種モグラ撃退機器類の効果判定に有効であった。イノシシ飼育3個体はいずれもスーパーセル苗よりも慣行苗、生育葉への嗜好性が高い傾向が見られた。2)IT技術を活用した野生動物の行動様式と農作物被害発生要因の解明については、箱罠設置付近でイノシシの遠隔撮影が約100mの距離で可能になった。撮影映像の解析を行った結果、年齢・性別・グループ構成等から出現グループが識別でき、箱罠周辺のイノシシの生息個体数と箱罠による捕獲率が明らかとなった。19年度に、箱罠設置場所に出現したイノシシの頭数(重複出現個体を除く)は成獣雄1、成獣雌3、亜成獣3、幼獣33で、設置場所ごとの箱罠による捕獲率は0~0.50で、平均0.10であった。イノシシふんから畜産飼料用採草地にはイノシシが頻繁に出没し、ふんにはイタリアンライグラス、スズメノカタビラなどが40%以上含まれた。ケージ試験において、採草地におけるイタリアンライグラスのイノシシによる被食量はケージ内残存量の40~60%に達し、無防備な牧草がイノシシの餌源になっていることを明らかにした。3)GISを活用した野生動物の生息密度予測と被害発生予察手法の開発については、既存調査データから昭和53年、平成15年のイノシシ全国分布図を作り分布の拡大傾向を分析した。また、千葉県を事例地として1kmメッシュ単位で捕獲の有無と環境要因の関係を解析して得られた予測モデルから、千葉県全域におけるイノシシの潜在的な生息適合度分布予測地図を作成した。千葉県に関する成果は、千葉県と共同で主要研究成果として公表した。4)物理障壁を用いた野生獣による農業被害防護技術の開発については、四国の傾斜地かんきつ園において技術的、経済的に設置が可能なハクビシン対応物理柵を設計し、実証段階に入った。この柵でタヌキ、サルへ対応するとともに、現地の被害防止に不可欠な大型獣の防護を担う、外側の金網柵との二重構造を完成型とする。中小畜産家が作付けする自給飼料(とうもろこし)の収穫を可能とするため、金網忍び返し柵が山際、山中のほ場で有効性を発揮する設置管理法を工夫改良し、リーフレットで情報を提供した。また、畜舎防護は共同研究として計画を拡大した。生体インピーダンス計によるタヌキの体脂肪測定法を確立し、畜舎周辺で死体試料を収集した。飼育施設の設置に着手した。さらに、平置きのワイヤーメッシュに黒マルチを張ったところ、イノシシの侵入防止効果があることが分かった。鼻で直接黒マルチに触れたり、黒マルチの一部を口で食いちぎる行動が観察されたが、ほとんどの個体は踏み入らなかった。黒マルチに踏み込んだ個体も、足を引き抜く行動が何度か観察され、最終的に侵入することはなかった。5)有害鳥による農作物被害発生要因の解明と防除技術の開発については、茨城県南の農村地域のカラス類の繁殖個体群および繁殖状況の年変動は小さいことを明らかにした。また、飼育下の行動試験により、果樹用の防鳥資材の素材として防虫ネットが有望であることを示した。果実傘は、素材や形状を工夫することで有効性を高められる可能性がある。6)鳥獣害対策支援のための情報提供システムの開発については、「鳥獣害情報提供センター」を鳥害情報を主体に仮公開を始めた。また、獣害に関しては、農水省の鳥獣害マニュアルのサイトなど有用なサイトへリンクできるようにし、我が国における鳥獣害対策の情報は「鳥獣害情報提供センター」から得られるような構成にした。
カテゴリ 病害虫 イタリアンライグラス かき 管理技術 傾斜地 飼料用作物 鳥害 鳥獣害 とうもろこし 繁殖性改善 防除 その他のかんきつ

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