県産小麦の地域別製パン適性の評価手法確立

課題名 県産小麦の地域別製パン適性の評価手法確立
研究機関名 岩手県農業研究センター
研究分担 保鮮流通技術
研究期間 新H15~16
年度 2003
摘要 目的:ア 背景 本県小麦は水田を中心とした作付けの拡大などにより生産量が急増し、需要の拡大が課題となっている。東北製粉協同組合岩手事務所、全農岩手県本部、県などで組織する「岩手県麦、大豆等産地体制確立協議会」では、本年度、麦品質向上対策を着実に推進するため「岩手県麦品質向上プログラム」を策定し、品質分析体制の整備や地産地消を核とした需要の拡大に取り組むこととしている。地産地消運動の中で、本年度から県の主品種の「ナンブコムギ」を30%使用したパンが学校給食用に使われており、県産小麦使用パンの研究が、県、全農、県内製パン業者などが参加して開始されている。当センターにおいても、製パン適性の高い「東北214号」を現地試験に供している。このような状況において、県産小麦を製パン用に仕向けるには原麦粗タンパク含量で12%以上が実需から求められているが、10%を下回るものから14%を越えるものまで、地域や栽培管理等によって変動が大きいのが現状である。 イ 目的 県産小麦の製パン用仕向を円滑にすすめるため、粗タンパク含量の高い麦を生産できる栽培地域をきめこまかく選定するとともに、県産小麦の簡易分析による粗タンパク含量の製パンに適する範囲を特定し、もって「パン用小麦適地マップ(仮称)」を作成することを目的とする。到達目標:ア 県産「ナンブコムギ」及び「東北214号」の粗タンパク含量と製パン適性の正の相関関係が明らかになり、目標値が決定される。  イ メッシュ生産環境システムを用いた高タンパク地帯のメッシュ地図「製パン用小麦適地マップ(仮称)」が完成し、製パン用途など高タンパク小麦の栽培適地帯が設定できる。予定成果(初年目):県産小麦の粗タンパク含量と土壌条件等の関係期待効果:本県で無理のない技術(窒素追肥量等)で製パンに適するタンパク含量の高い小麦を栽培できる適地が設定できる。このことにより、用途に応じた産地・地帯別小麦の仕分けが容易となり、製パンなどに適する県産小麦の安定供給、安定消費につながる。研究計画:(1) 県産小麦の製パン適性調査 ア 岩手県麦品質向上プログラムによる県産小麦の粗タンパク含量の分析(全農)ナンブコムギを中心に700点、東北214号を含む。ニレコ近赤外分析計とケット品質測定器を使用 イ データの解析耕種概要(全農で収集)のデータ解析(田畑別、追肥条件等)代表圃場地点と土壌特性値の地点対照ウ 製パン適性の調査(ア)の700点の5~7%の35~50点を標本抽出し、少量製パン試験(300g)を実施エ 粗タンパク含量と製パン適性及び土壌特性値の解析数量化解析を行い、メッシュ生産環境情報システムに外挿する階級値を設定(仮説:土壌区分、有効土層の厚さ、作土の腐食含量、作土のリン酸吸収係数の4項目の土壌情報と、施肥窒素量、小麦の粗タンパク含量に相関関係があり、数量化手法で4項目を変数とする粗タンパク含量の重回帰式を得ることができる。これをもとに、潜在生産力として4項目の土壌情報を階級値変数とする総合ランキング値としてメッシュ地点ごとに計算することで、適地マップが作成できる。)成果:(1)9項目の土壌図情報と気象・地形情報をメッシュ地図に対応させたメッシュ生産環境情報システムが開発され、様々な土壌特性値を把握しやすくなった。また、特性値をランク分けして総合値として計算できるようになった。(平成10年度岩手農研センター研究成果) (2)「ナンブコムギ」では減数分裂期または出穂期に3kg/10aの窒素追肥によって、原粒粗タンパク含量が平均1.7%または0.9%増加し、麩質含量も高まった。粗タンパク含量が増すと粉の黄色みはやや低下するが粉の明るさは差がなかった。減数分裂期または出穂期の追肥窒素量に対する子実中窒素の増加(利用効率)は27~29%であった。(平成8年度 岩手農試:東北6県連絡試験)(3)近赤外分析計で計測した県内主産地の小麦の粗タンパク含量は平均11%程度であり、8.4~15.4%まで幅が大きかった。(平成13年 岩手県経済連)   (4)粗タンパク含量は土壌条件によって変動し、黒ボク土では高タンパクとなった。粗タンパク含量と粉色は負の相関関係がある。(1989,1991 飯田幸彦ら)(5)小麦系統「東北205号」では、60%粉の粗タンパク含量12%に増加するまで、窒素追肥によって、セディメンテーション値、グリアジン及びグルテニン含量、ファリノグラムやエキステンソグラムの生地物性値及びパン比容積が向上する。特に、出穂期~開花1週間の追肥が、粗タンパク含量とパン比容積を安定的に増加させる。(平成10年度 東北農試)
研究対象 小麦
戦略 食品
専門 食品加工流通
部門
カテゴリ 加工 近赤外分析 小麦 栽培技術 水田 施肥 大豆 品種

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