土地利用型畑作物定着化のための麦・大豆の品種選定と栽培安定化技術の確立

課題名 土地利用型畑作物定着化のための麦・大豆の品種選定と栽培安定化技術の確立
研究機関名 広島県農業技術センター
研究分担 土地利用
研究期間 完H13~15
年度 2003
摘要 1 めん用小麦の品種選定と安定栽培法の確立 1) 品種選定 (1)早播きによる凍霜害の発生程度と熟期前進化の検討 幼穂の凍死は,極早播きした「ふくさやか」のみに発生し,秋播き型早生品種の「キヌヒメ」,「イワイノダイチ」,「西海185号」には発生しなかった。幼穂凍死に関係する茎立期は「キヌヒメ」が最も遅かった。早播きによる早熟化は,標準の11月上旬より20日早く播くことで4品種とも3~4日早くなった。収量は早播き,普通期播きとも,「キヌヒメ」,「イワイノダイチ」,「西海185号」が「ふくさやか」に比べて同程度以上であった。 (2)穂発芽耐性および低アミロ耐性の検討 農業技術センター産,世羅町現地試験産の「キヌヒメ」は,「イワイノダイチ」,「西海185号」,「ふくさやか」に比べて,穂発芽粒率が最も低かった。また,成熟期近くの散水処理によるフォーリングナンバーの低下程度は,「キヌヒメ」が最も低く,外観品質(検査等級)も低下しにくかった。 (3)加工適性の検討 秋播き型早生品種の「キヌヒメ」,「イワイノダイチ」の子実特性,粉品質特性,製粉特性およびゆでうどんの官能評価は,農業技術センター産,世羅町現地試験産とも「ふくさやか」と同程度に優れた。 (4)地域適応性の検討 世羅町(標高430m)において,「キヌヒメ」,「イワイノダイチ」,「西海185号」,「ふくさやか」は,標準の10月下旬より14日早く播くことで成熟期が3日早くなった。幼穂の凍死は,早播きにより発生し,「ふくさやか」,「イワイノダイチ」,「西海185号」の順に多かった。「キヌヒメ」では発生しなかった。また,茎立期は「キヌヒメ」が最も遅かった。収量は早播き,普通期播きとも,秋播き型早生3品種が「ふくさやか」に比べて多かった。梅雨による穂発芽の発生程度は「キヌヒメ」が最も低く,フォーリングナンバーも300以上で最も高かった。 (5)実肥による外観品質の低下程度の検討 「キヌヒメ」,「イワイノダイチ」,「西海185号」,「ふくさやか」は,早播き,普通期播きとも,実肥窒素施用量4kg/10aにより千粒重,容積重が増加し,子実蛋白質含量が概ね適正値(9.5~11.5%)になった。実肥による外観品質(検査等級)の低下程度は,作期や品種によって異なったが,「キヌヒメ」と「西海185号」は「ふくさやか」より低下しにくかった。2 大豆の品種選定と安定栽培法の検討 1) 気孔開度の測定による大豆潅水指標の開発浸潤法を用い気孔開度を測定し,大豆が感じている水分ストレスを把握する手法を検討した。測定した気孔開度は葉位別では上位葉が,小葉別では頂葉が大きい傾向にあるため,測定に用いる葉は成熟した上位1葉の頂葉とするのが良いと考えられた。また,気孔開度は朝から夕方にかけて小さくなってく日推移を示し,晴天日の浸潤度が3.5以上であれば潅水の必要はないと考えられた。時期別でみると,開花期・莢伸長期の水分ストレスが成熟異常の発生に関与していると考えられた。 2) 大規模圃場における効率的水分制御技術の開発 本暗渠を利用して,地下潅漑を行い,地下水位を-40cmに保つシステム(地下水位調整システム)が土壌水分や大豆の生育に及ぼす影響を調査した。 地下水位調整システムは,一定程度の地下水位を保つことが可能であったが,入水口から排水口に向かい地下水位・土壌水分が若干低下する水分勾配が発生した。また,地下水位を一定に保つことにより,子実肥大期の水分ストレスを回避し収量が向上した。
研究対象 小麦・大豆
戦略 土地利用型農業
専門 栽培生理
部門 麦・大豆
カテゴリ 加工適性 小麦 成熟異常 大豆 品種

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