タイトル | たまねぎ YES!Clean 産地の育成・定着手法 |
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担当機関 | 北海道立中央農業試験場 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
白井康裕 |
発行年度 | 2003 |
要約 | クリーン農業によるたまねぎ生産の費用は、化学資材の削減に伴い、これを補完 するために新たなコストが生じており割高である。そのため、経済的な成立には、生産段 階における費用の増加分を流通段階で補填することが不可欠となる。 |
キーワード | たまねぎ、クリーン農業、YES!Clean 産地 |
背景・ねらい | たまねぎにおけるクリーン農業の収益性を規定する要因を明らかにし、YES!Clean 産地の育成に向けて必要となる条件を整理した。 |
成果の内容・特徴 | 1.たまねぎ生産において、クリーン農業(減化学農薬・減化学肥料栽培)の実践に伴う生産資材と費用の変化を整理した(表1)。1減化学肥料栽培に取り組んだことで、窒素施 用量は減少した。ただし、土作りに努め有機物を施用しており、肥料費は高まった(図 1)。2殺虫剤、殺菌剤、除草剤の使用回数が減少したため、薬剤費は低下した。3手取り 除草の実施回数が増加したため、労働費は高まった。4薬剤費の低下に伴い植物活性 を図る目的で使用した葉面散布資材費が新たに生じていた(図2)。生産段階の費用は、 化学資材の削減に伴い、これを補完するために新たなコストが発生し、割高であった。 2.クリーン農業に取り組んだことにより農業所得の向上が見られるA産地を例にあげる と(表1)、1流通経費は、自家選果や手数料・運賃の負担を軽減させることに努め ているため低下していた。2取引先の理解の下で、取引価格を高く設定していた。3 農業試験場の開発した防除技術を利用することで、取り組み前の収量水準を維持して いた。A産地では、生産段階における費用の増加分を流通段階で補填できたことから、 単位面積当たりの農業所得は、クリーン農業に取り組む前の水準よりも増加していた。 3.特別栽培農産物の基準を満たす一歩進んだクリーン農業に取り組むB産地では、A産 地で見られた1~3に加えて、生協・量販店に直接販売し、流通経路を短縮させるこ とで、流通経費を大幅に低下させていた(表1)。これにより、農業所得は、A産地 と同等の水準を維持していた。 4.クリーン農業によるたまねぎ生産の経済的な成立には、生産段階における費用の増加 分を流通段階で補填することが不可欠となることが明らかになった(表1)。農業所 得の向上を実現していたA産地やB産地では、収量を維持することに努めるとともに、 このような条件を満たす取引先を自ら開拓し、情報交換を活発に行うことで、取り組 みに対する理解を得ていた。したがって、クリーン農業に取り組む経営の持続的な生 産を支えるためには、流通の川下に向けて、クリーン農業の重要性とそれに必要とな るコストについて啓蒙することが重要になるものと考えられた。 |
成果の活用面・留意点 | 1.たまねぎの YES!Clean 産地の育成・定着を図る場面で活用する。 2.消費者・流通業者のクリーン農業に対する理解の促進に役立てる。 |
カテゴリ | 肥料 病害虫 くり 経営管理 コスト 除草 除草剤 たまねぎ 農薬 防除 薬剤 |