十勝地域における簡易耕を導入した畑作物の栽培技術

タイトル 十勝地域における簡易耕を導入した畑作物の栽培技術
担当機関 十勝農試
研究期間 2000~2003
研究担当者 稲野一郎
前野眞司 
中津智史
東田修司
桃野寛
発行年度 2003
要約 黒ボク土・多湿黒ボク土で簡易耕を行うと、土壌硬度・固相率が上昇、気相率は低 下する。スィートコーンやてんさいで増収、小麦は同等の収量、豆類は減収する危険性が ある。秋まき小麦の簡易耕では残渣処理はチゼルプラウ等で可能であり、慣行のプラウ耕 作業体系に比べ、作業時間は 1~2h/ha(40~60%)短縮できた。
キーワード 土壌硬度、土壌三相分布、残渣処理、湿害、心土破砕
背景・ねらい 規模拡大が進む十勝の畑作地帯ではプラウ耕を必須とするのは困難であり、簡易耕 は省力化、輪作体系確保や適期播種、さらに耕盤層の形成回避のために有効と考えら れる。そこで、十勝の火山性土における簡易耕(プラウ耕の省略)の導入が土壌環境や畑 作物の生育・収量に及ぼす影響を明らかにするとともに、秋まき小麦に対する簡易耕適応について検討する。
成果の内容・特徴 1. 黒ボク土および多湿黒ボク土において慣行(プラウ耕の実施、+P)と簡易耕(プラウ耕の省略、-P)が土壌の物理性に及ぼす影響を検討した結果、黒ボク土では慣行よりも土壌 硬度が高まるが、多湿黒ボク土ではそれほど高まらない(図1)。両土壌とも簡易耕に より慣行と比較して容積重、固相率の上昇、気相率および透水係数が低下し(表1)、 これにより土壌水分は全般に高まり(pF 値の低下)、多湿黒ボク土では pF1.5 以下と なることが多い(表2)。
2. 黒ボク土の簡易耕において、スィートコーンやてんさいで増収が認められ、小麦にお いても同等の収量が得られる(表3)。しかし豆類においては、簡易耕(プラウ耕の省 略)により土壌硬度が過度に高まると(およそ 2.0MPa 以上、図1)、根張りが制限され るために減収する危険性がある(表3の H12 場内大豆、H15 更別 M 金時)。この場合、 心土破砕などの施工が効果的である(表3の H15 更別 M 金時)。排水性が劣る多湿黒 ボク土に簡易耕(プラウ耕の省略)を適応した場合、水分過剰による湿害の発生が危惧 されることから、心土破砕などによる排水改善が必要である。
3. 秋まき小麦播種前にプラウ耕を省略する場合、ばれいしょ跡はロータリハローやスプ リングタインカルチベータ2回がけ、チゼルプラウなどにより残渣処理が可能で、出 芽には影響を及ぼさない(表4)。しかし、菜豆跡は残渣量が多く、ピックアップスレ ッシャ収穫後の簡易耕は困難で、カッティングスプレッダを装着したコンバインで収 穫し、ディスクハロー2回またはチゼルプラウ2回処理することで残渣処理が可能に なる。
4.秋まき小麦播種時に 80PS 級トラクタおよびグレンドリルを使用する簡易耕作業体系 では、作業時間が 1.7h/ha であり、慣行のプラウ耕作業体系に比べ、2.1 時間短縮で きる。100PS 以上のトラクタ体系でグレンドリルを用いた簡易耕作業体系は慣行に比 べ 1.4 時間、パワーハローシーダでは 1 時間短縮できる(表 5)。
成果の活用面・留意点 1. 豆類に簡易耕を導入する場合、心土破砕等が土壌の膨軟化や排水改善に有効である。
2. 簡易耕を導入するにあたっては、事前に雑草密度を低下させることが重要である。
カテゴリ 病害虫 規模拡大 小麦 栽培技術 雑草 湿害 省力化 大豆 てんさい 土壌環境 排水性 播種 ばれいしょ 輪作体系

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